『ぼくのオカンがうつになった。』
佐口賢作(著) サトウナオミ(イラスト)2017年7月
〈著者のコメント〉
2008年、うつ病が大半を占める気分障害での通院患者数がついに100万人を突破しました(厚生労働省調べ)。
しかも、患者の半数以上である約57万人が50代~80代。
つまり、うつ病に悩む人の多くが、30代、40代にとっての親世代なのです。
うつ病を患うと、その人は弱り、苦しみます。
以前のような快活さは消えてしまい、まるで別人のように変わっていきます。
もし、それが知り合い程度の関係であれば「たいへんだな」でやり過ごすこともできるでしょう。
しかし、自分の親や近しい親戚がうつ病を患ってしまったら......。
頼れる存在だった親が、ふさぎ込んでしまうもどかしさ。
もちろん、一番苦しいのは患者本人ですが、周囲の家族もまた、否応なく「うつ」という病に巻き込まれていきます。
投げ出したくても投げ出せず、身近で接することの苦しさを吐露し合える仲間はなかなかみつかりません。
僕のオカンがうつ病と診断されたのは、16年前のこと。
パニック障害を併発して外出もままならなくなったこともあれば、精神病院に入院したこともあります。ヒステリックな行動に出るオカンにがく然とし、涙したことも多々あります。
それでもなんとか寄り添いながら今日まで歩んできました。
うつ病によって、人が変わってしまったように思える親や家族とどう付き合えばいいのか?
動揺する気持ちを抱えているすべての人に、僕の経験してきたオカンとの日々が少しでも役立てばいいなと思い、この本を作りました。
うつ病と向き合い、しんどさを感じている人に「俺だけじゃ、私だけじゃないんだ」とホッと一息ついてもらえたら、なによりです。
(注:太字はわたし責任)
〈個人の感想です⇩〉
なんかこのごろ、うつか認知症関連の本ばかり読んでるみたいですが…w
どうしても、一冊読んでそのレビューなんかあさるうちに連想ゲームのように「ほら、これも読んでみたいべ?」みたいに呼び寄せられるんですよねww
で、この本は、(イラスト)とありますがコミックになってて読みやすいです。
味があるというか、ちっともオシャレじゃない画柄が(しつれい)味があって、もう「オカン」が「オカン」に、オカンの姉である「おばちゃん」が「おばちゃん」に、息子であり著者の「賢作さん」が「賢作さん」にしか思えなくなってくる魅力があります。(会ったこともないのにw)
家族がうつになったときのことを教えてくれる本といえば、「ツレがうつになりまして」で、夫さんがうつになったときの妻さんからのお話(やはりコミック)⇩
あと忘れられないのは、うつではなかったけど、「妻はサバイバー」で、妻が拒食症からアルコール中毒になったときの夫さんからのお話(壮絶すぎるご本)⇩
そして今回は、そう「オカン」です。
わたしの夫の「オカン」が、うつではないけど認知症の入り口(?来月の受診まち)である家族として、すごい勢いで読んでしまった、というか、止まりませんでした。
いやーーー・・・ちょっとこちらも壮絶でした。
この本を書かれたときに、すでにうつと診断されてから16年。
学生時代からオカンさんのうつと付き合い、見守り、格闘し…ひとごとに聞こえますが「よくがんばりましたね。」って言いたいです。
香山リカさんの紹介文で
「家族のうつには、寄り添うけれど、向き合わない。そんなコツが楽しく描かれてます。」とありますが、じっさい「楽しく描かれて」はいますが、決して「楽しい」わけではない!!
(そりゃそうです!!!)
さいしょは夫の母のことをオカンさんに重ねて著者目線で読んでましたが、いつの間にかオカンさんと同じく成人したひとり息子をもつ身としてオカンさん目線になってたりもしまして…
そんな目線からだと、学生時代から重荷をかかえて(←オカンさんには申し訳ない言い方だけど(^^ゞ)仕事に打ち込もうにもひんぱんに呼び出しがかかったり、、、と、どうしてもオカンさんの犠牲になってる面もある著者さんが、ちゃんと(?)彼女さんがいたり、とうとう(??)「このひと♡!」といえる女性と電撃的にめぐり会って結婚できたくだりで「よかったわーーー♡♡」とうるうるキてしまいました。
またこの彼女さん⇒著者の妻さん、が、なんだか絶妙な距離感で著者母子に接しておられるんですよね。
ほどよい距離感、、理想のかたちに見えますね。
(現実にはそりゃーモメゴトもあるだろうけど)
その前になるけど、同居してた「おばちゃん」がオカンさんと大ゲンカの末出て行ってしまって、著者さんがもう不安で「自分までうつ病に?」と思うくらい追い詰められたときに、相談に行った地域の健康センターで…
「大変でしたね、でも、もうお一人で悩まなくても大丈夫ですよ」って言ってもらって「ぶわっ」と涙腺決壊したくだり。
「いざとなったら頼れるところがある」安心感が涙腺をつきやぶり、
「やれる!大丈夫!腹をくくろう!!」と思えた著者さん。
ココでもわたしまで涙腺がちょびっと崩壊しました。
うん、程度はま~~~~ったく違ってウチなんて軽いものだけど、それでも頼もしい、基本「イエス」で動いてくださる(!!「最初からNO」ではないことのありがたさ♫)ケアマネさんの存在に思い至って、あらためて感謝感謝となりました。
コミックにはさまる「コラム」欄も読んでて興味ぶかかったりヒントになったりで、ありがたいです。
たとえば「病院選びのポイントと薬について」とかは、前回書いた和田秀樹先生の持論とも重なります。
そこでも書いたけど、母のことで来月予約していただいた、お年寄りに特化した(特化したわけじゃないだろうけど過疎のお年寄りが多い地方なのでおのずと特化?w)精神科に行ってみるのが、ますます楽しみ(←ヘンなはなしですが)になりました。