『蜜蜂と遠雷』読みました&映画も見ました | 上機嫌な日々

上機嫌な日々

「上機嫌に生きたい」けど、現実には文句とグチばかり。
ただただ日々の覚え書きなつれづれ日記。

『蜜蜂と遠雷』恩田陸著 2016年

 

 

文庫本(幻冬舎文庫)上下巻をならべると、こんな風に「ニコイチ」?のデザインになってるんですね~。

 

とっても印象的なブックカバーデザイン。

こんな野原で、レンゲとかいろんな花の蜜で(レンゲくらいしか思い浮かばないw)蜜蜂を養蜂してるんだろうな~というイメージの。

 

なぜ、いまごろ(?)いきなり読みたくなったのか覚えてないけど…とてもとても読み応えがあった。

とにかく、たとえば、ピアノ演奏の音の描写とか、聴いてる感想とか、こんなにもいろんな多様な言葉で表現できるんだな~っていうことに、ヘンなはなし、感動したというか。

作者の文章力のすごさに圧倒されたというか。

 

クラシックファンである作者が「ピアノコンクールの話を最初から最後まで書いてみたい」と言ったのが、この小説のそもそものきっかけだったことが、担当編集者さんによるあと書きに書いてあります。

なるほどーーーとても魅力的な題材、だけど、とてつもなくタイヘンな挑戦であろうことが素人にもわかります。

 

個性的な出場者たち(コンテスタントっていうのね、はじめて知りましたw)を揃えて、それぞれ年齢・性別・国籍・背景・性格などなどを膨らませて、1次~3次予選とオーケストラ―共演の本選までの演奏曲を振り分けて、印象的なエピソードを付与して・・・

素人ながら気が遠くなるような創作行為ですよね。

 

この作品では、なかでも4人のコンテスタントにスポットがあてられてます。

 

【審査結果のネタバレより⇩】

1位 マサル・カルロス 19歳 (←もっと長い名前w)

2位 栄伝亜夜 20歳 (←ヒロインの名前「えいでんあや」がとっても印象的)

3位 風間塵 16歳 (←ある意味主人公?「かざまじん」くん)

プラス

奨励賞 高島明石 28歳(コンクールに出場できる年齢制限ギリギリ・お仕事あり妻子あり)

 

※お名前のエピソードでいうと、「マサルは勝利の“勝‘’なのに、ジンは塵(ちり)。ビクトリーとダストなんて、ダストがかなうわけないww」なんて面白い表現もありました。
 

ほかにも、審査委員さんたちのアレコレなど、ほんっと、のべ何人が描かれてるんだろうってくらいの大作。

 

「審査員って、審査するようでいてじつは審査されている存在」っていう描写もあって、これってたとえばM-1とかでも言えるよね~ってナットク。(卑近な例www)

 

物語りとしては、天才少女とさわがれてた7年前に母親が亡くなったことでコンサートをドタキャンしちゃった亜夜ちゃんが、ふたたびピアニストとして復活できるのか?っていうハラハラドキドキと、「災厄かギフトか?」と審査員を震撼させるくらい紙一重な破天荒な演奏をする自然児ジンくんが「ちゃんと」コンクールで実力を出せるのか?というより、「ちゃんと」審査員が審査できるのか??というハラハラドキドキが、おおきなふたつの軸かな?

とにかく最後の最後まで止まらない読み応えでした。

 

あと、やっぱり、どうしても、そこに出てくる曲を聴きたくなるし、映像化したらどんな役者さんが演じるだろう?と思ってしまうし。

 

なかでも野生児で自然児で天衣無縫で、少女漫画にでてくる妖精くんみたいな(少女漫画にはあまり出てこんだろう…汗)風間塵くんを、いったいどんなコが演じられるんだろう??ってずっと思いながら読んでました。

 

映画化されたことは知ってたけど、ヒロインが若き演技派・松岡茉優ちゃんってことは知ってたくらい。

 

で…曲と演奏シーンを見てみたいし、どんなふうに映画化されたのかも不思議だったので(だって、あんなに長くて分厚いお話をどうやって一本の映画にできるんだ??って)

さっそくアマプラで見ることができました。

 

 

キャスティングでいうと…

 

「ジュリアードの王子さま」とキャーキャー人気のカリスマ性あふれるマサルは…容姿のイメージでは横浜流星くんあたりかなー?なんて思ってたので、映画の森崎ウィンくんはもっと温和で陽気で優しくて、カリスマ性という意味ではちょっとイメージと違ったけど、「小さい頃にあーちゃん(亜夜ちゃんのこと)と再会して、すっごく嬉しいまーくん」であるマサル、としてはとっても合ってたように思うし。

 

音大で朝から晩までピアノ漬けの天才たちとはちがう、「生活に根差したピアノ」(だっけ?)を表現したい高島明石さんは、読んでるときはどーしても稲垣吾郎氏しか浮かばなかったんだけど、なるほど~~「生活感ある松坂桃李さん」がピッタリだったのが意外でした。

 

で……モンダイのジン・カザマくん。

なるほどーーーいまや売れっ子くんの鈴鹿央士くんの新人時代か~。

ちゃんと(?)幼げで、ふわっとした笑顔とか天真爛漫なふるまいとか、びっくりするほどイメージどおりで驚きましたー。

できたら回想シーンで、養蜂家で世界中をとびまわってるパパとのシーンが見てみたかったなー。

 

そうそう、ちょっとだけだけど、マサルが(実は)スキでいつもくっついてるけど憎まれ口しかたたけないジェニファ・チャンちゃんを演じた福島リラさんが印象的でよかったな。

 

審査委員(映画では審査委員長?)の三枝子さんを演じた斉藤由貴さんが、「いかにも!」な演技でちょっと笑ってしまった(失礼!!)

NHK「燕は戻ってこない」を見てるので、黒木瞳さんが演じそうなイメージ(安直w)

 

などなど、映画は映画としてはらはらどきどき楽しめたけど・・・

やっぱり小説とは別物ですよね、たぶん仕方ないですよね。

違う設定も多かったし。

さいご、いったん逃げようとした(のかな?)亜夜のくだりとか、ひんぱんに出てくる「雨のなかの馬」のイメージとか、最初「コメディなの?」って思ってしまったクロークの片桐はいりさんの意味とか、わたしの理解力ではちょっとわかりませんでした。

 

クローク片桐さん、じつはこの道何十年もあそこでイヤホンで会場の演奏を聴き続けてるので、いまやだれが実力あってだれが勝ち残れるのかをピタリと当ててしまう「神の耳」をもってる!?なんて設定だったらおもろいのに…なんて思ってました(^^ゞ

(ありえない!www)

 

そうそう、小説の後日談もあるそうで(『祝祭と予感』)これは図書館で予約しました。

後日談…気になります♬

 

コンクールで演奏された曲をあつめたプレイリストなどもあるようで、ぜひぜひ聴いてみたいです◎

(プロコフィエフのピアノ協奏曲なんて知らなかった…)
 

 

以上、ほんっと、いまさらの感想でしたー。