「科学」2024年1月号(岩波書店)に、

 数学と物理学は「役に立つ」のか

という論稿が載っていた。

 

3年前、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)で、

 「なぜ数学を勉強するの?」

という質問に、

 「論理的な思考力を身につけるため」

が答えであった、と紹介されていた。

 

筆者(大学教員)は、高1生向けの模擬授業で、受講生から、

 「何で数学を勉強しなければいけないのか?」

と聞かれ、

 「人々が社会生活を円滑に送るためには初等的な算術を身につける必要がある」

 「社会を維持発展させるためには、あるレベル以上の数学を身につけた人が一定数必要とされる」

 「数学を学ぶことで論理的な思考の訓練になる」

 「数学を身につけることで将来の選択肢が増える」

などと説明したが、質問した生徒は納得した様子ではなかった、と書かれていた。

 

答えに間違いはない。なるほど、と思えるのだが。

そもそも 「なぜ学ぶのか?」に納得する解答は、あるのだろうか?

知りたい(解いてみたい)課題に出会ったことがあれば、こんな質問なんかしないし。

 

もっと具体的な数学内容で、「なぜ学ぶのか」を論じないと、無理があるような気もする。

もちろん、目前の学習内容を「なぜ学ぶのか?」という問いは中高生にとって意味があるが。