現地で学んだことを忘れないため、また貴重な展示物の写真をあとから見返すための健忘録です。

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ドイツには昔から多くの鉱山があり、現在は稼働していないけれど見学用に公開している鉱山もたくさんあります。

この鉱山もそんな見学用鉱山のひとつでありました。

 

Marienglas Caves Friedrichroda

無料駐車場あり。

参加費は、大人9ユーロ。

 

センターとチケットを購入する受付は駐車場から200mほど歩きます。

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鉱山内へはツアー参加者のみ立ち入り可能。

よって、坑内の鉱床をみるためには参加費を支払って一日に数回催されるツアーに参加する必要があります。(トロッコ列車などはないので、人数制限はゆるそうです。)



センタ-内には小さな博物館があり、一階部分はこの鉱山の歴史、二階部分はチューリンゲン地方の岩石、鉱石、化石が展示されています。

全てドイツ語ですが、英語の説明をQRコードでダウンロードできます。

 

 

この地方では、800年代から鉄、銅、石膏の採掘が行われていたそうです。


Marienglass Cavesの上部も鉱山でありました。

さらなる鉄や銅を期待して、稼働中の鉱山の下に坑道を広げて採掘してみたところ、鉄や胴は見つからず、石膏が見つかったのだそうです。


この狭い坑道が唯一の空気の通り道。

さらに鉱山内部では酸素を消費するろうそくの明かりのみが頼りであったため、酸素の確保は死活問題。

酸素不足にならないように、5、6人ほどのかぎられた人数のみが入坑して採掘を進めたのだそうだ。



この地上階層の空間は、手作業と小規模な爆破のみで採掘された。


天井部分の白い線のようなものが石膏(Gypsum)。

水と反応させて硬化させたものを骨折治療に使われるギブスとして利用されていた。


狭い坑道では、子供たちが体の小ささを生かして働いており、8歳頃から入山し採掘活動を担っていたのだそうです。

 

ただし、石膏は空気にさらされると化学変化してしまうため長期保存には向かず、この鉱山自体は常時稼働していたのではなく、需要に応じて採掘がされていたようです。

 

 

当時使われていたなかなか原始的な工具。↓

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Marienglass Cavesの大部分は上記のような鉱山で、天然の洞穴部分はほんの一部になります。


この天然の洞穴部分で発見されたセレナイト(ドイツ語でMariengals)が鉱山の名前の由来なのであります。

 

発見された当時、何百万年もの時間をかけて、地下水が浸透した硫酸カルシウムにより形成された美しいセレナイトの結晶集合体は、この洞穴いっぱいに発達していたのだそうです。


ただし、モース硬度2(10が一番硬いダイヤモンド)の壊れやすいガラス質であるため、美しいけど工業的価値は低く、もっぱらシャンデリアや額縁の飾りなどの装飾品として使われていた。


その後も美しいセレナイトは乱獲され続けたのですが、鉱床保存のため1848年に採掘禁止となったのだそうです。

 

1848年、石膏鉱山は閉鎖。

閉鎖後、この坑道と洞穴は地下水に満たされたのですが、コンクリートの柱などを建てて、1903年に見学用の洞窟として営業を開始。

 

地下階層には今も地下水がたまっています。

水深20cmほどらしいので、大した水量ではありませんが、水面に映った天井の岩石が不気味でありました。

 


地下水の溜まった最下層にはぐるりと周遊できる遊歩道を歩くことができます。

 

地上階層から、一旦セレナイト鉱床の洞穴に入り、そのあと地下水のある階層の遊歩道を歩き、地上階の戻ってきて、一時間ほどのツアーは終了です。

 

 

ツアーはドイツ語のみなので、いつものごとく夫なしには成り立たない見学でありました。

 

美しいセレナイトの鉱床を見ることができたので、ここまできた甲斐があったというものでありました。