映画鑑賞備忘録 -8ページ目

映画鑑賞備忘録

香港映画が大好き人間の映画鑑賞の記録

公開以降なかなかいけるタイミングがなく、やっと見てきました!

 

劉俊謙はどうも私には、『アニタ』のレスリー・チャンのイメージが抜けな過ぎる。

そして、テレンス・インの方が耳なじみがあってたまに間違ってしまう...。そんな混乱を起こしている私の頭ですが。

 

冒頭の昔の香港映画っぽさの再現のクオリティーがとてもそれっぽくて懐かしい感じ!!!とこの時点で結構感動してしまいました。

 

董瑋は、正直あまり存じ上げなかったのですが、出てきた瞬間、この顔好きだなぁと思ってみておりました。娘さんとの確執ってなんか最近の香港映画あるあるな気がする。父親と娘の関係性を描く映画多い気がします。父親と息子の関係性をストーリーのサブにおいて描く映画あんまり見たことないような。

 

アクション監督サムの描き方が一見いわゆる昔を語る老害かと思えるような印象もありますが、後半に進んでいくにつれてそうではなく、香港映画そのものへの愛ゆえであり、衰退すると言われる中で何とか残していきたいというプライドのようなものだと見えてくるのがとてもいいですね。この映画では「香港映画」の特長であるアクションをを行うスタントマンにスポットがあてられているけれども、それは決してその世界に限定されたものではなく、変わりつつある変わらざるを得ない変わることを求められている香港という街そのものであり、その街が持っている文化そのものの象徴として描かれているような気がしました。決して過去はよかったというような回顧主義ではなく、今まさに、手のひらから零れ落ちていこうとしているものを自分たちのアイデンティティとしていかに守っていくかというような。

 

この映画が素晴らしいのは内容的にはマイナスの感情を描いている部分もあるけれども、決して悲観的で暗い物ではなく、映画全体はなんだか明るくからっとしていること。近年の香港のドキュメンタリーは情勢的に暗いものや重いものが多いですが、同じようなことを言いながらもノンフィクションだからこそできるこのすこしポップですらある描き方。そしてなんかちょっと面白いんだよね。スタントマンという存在に対する敬意であり若干の問題提起も含んでいるのかもしれないけれども、こういうものが描ける強さというか「今」をこういう形にしてノンフィクションとして描いてるのが素晴らしいなと。

 

そして、出てくる人がそれぞれの正義でぶつかるけれども、誰も悪にすることなく描き切っている。アメリカの映画って善悪はっきりしているけれども、香港の映画って『インファナル・アフェア』に象徴されるような、善悪をはっきりを分けることなくそれぞれがそれぞれグレーでありつつ、しっかりとした意志をもって清濁併せのんでいる感じがとても私は心地がいい。

 

また、新しい形の香港映画を見せてもらったような気がする。

 

それにしても最近、蔡思韵をめっちゃよく見るような。

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監督:梁冠堯、梁冠舜

出演:董瑋、劉俊謙、伍允龍、蔡思韵 他
2024年/香港

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