🧵この記事はきっかけ(1)からの連続シリーズです
 
 
サイの専門学校卒業の前年
 
 
私はこの年、法律事務所に入所して3年が過ぎ、4年目に入っていました。
 
 
私はバックオフィスで事務として、外国案件の定型業務をして、書類発送やメール・電話対応をしていました。顧客や外国の弁護士と直接面会をするのも、担当案件数に応じて給与や評価が大幅に変動するのも弁護士のみで、他は業務内容に違いはあれど、基本的に全員固定給のバックオフィススタッフでした。
 
 
私ももちろん日本顧客とも外国顧客とも、外国弁護士とも直接会ったことは一度もありませんでした。
 
 
ところが、私はなぜかよく、自分の担当案件でも自分の担当業務でもない事案について、よくお客さんから直接名指しで問い合わせや相談を受けていました。私宛に問い合わせの電話がきたり、私の個人アドレスに相談のメールがよく来ていました。
 
 
お客さんの中には、私とは面識が全くないにもかかわらず、わざわざ事務所の代表に「代表の耳に入っていないかもしれないので念のためにお伝えするが、弁護士先生に聞きにくい外国案件に関する事については、我が社は全て詠里さんに頼りきっている」とメールを入れてくれたお客さんもいました。
 
 
また別のお客さんは、「普段こんな対応をしてくれる事務の女性はどんな人なのか会ってみたいと思って事務所に見に来た」と言って、事務所に私を見に来られたお客さんもいました(笑)
 
 
また別のお客さんも、私とは全く面識がないにもかかわらず、ある日突然事務所に電話をしてきて、「今度うちの会社の社内会議に参加して、意見や提案を出してほしい。おたくの事務所の代表にも話通しとくから、とにかく来て。当日は車で迎えに行くから」と言ってこられ、車で迎えに来ていただいた時に初めてお客さんと顔を合わせるということもありました。
 
 
またまた別のお客さんからは、社内向けに外国案件の管理指導研修を私にお願いしたいと言って、数日の出張を依頼されたこともありました。そんな事例は事務所が始まって以来一度もありませんでしたから、自分なりに事前に会社さんに希望や悩み事をヒアリングして、研修内容を組み立てて、私の研修が終わってからも社内業務がスムーズに回るよう、従業員の方全員が閲覧できるマニュアルも作成して会社訪問をしました。研修中は、会社のみなさんと楽しくランチをして、部長さんの取り計らいで研修の最終日をわざわざ金曜日にしていただき、最終日に打ち上げもしていただきました。
 
 
とにかく、目の前にある仕事一つ一つを自分なりに心を込めてこなし、声がかかるままに、依頼を受けるがままに、呼ばれるがままに仕事をしていました。
 
 
つづく