🧵この記事はきっかけ(1)からの連続シリーズです
 
 
さて、話はまたまた少し逸れて、サイが日本に住んでいた頃は、2人で一年に2回、多い時は3回台湾に行っていました。
 
 
サイが専門学校に通っていたある夏も、一緒に台湾に帰りました。その時、行天宮と霞海城隍廟の中間地点にあった私が昔住んでいたマンション(本当にラッキーで、ものすごくお手頃な値段で好立地の素敵なマンションに住んでいたんです!)の周辺に、特に何か目的があったわけでもないのですが、二人で久々に行ってみる事にしました。サイは、私たちが正式に付き合い始める前から、私が授業をしている校舎の前にバイクや車に乗ってふらっと現れて(何食わぬ顔してたぶん私の仕事が終わるのを待っててくれてたんですね)、授業が終わった私をマンションまで送ってくれていました。それでこのエリアにはお互い馴染みがあったのです。
 
 
真夏の暑い日に、迪化街をブラブラして、霞海城隍廟に参拝して、行天宮にも参拝しました。
 
 
その日の夜は、サイの運転でサイのお家の別荘というか、別宅に行きました。日本のリゾート地にあるような戸建ての別荘ではなく、台湾の温泉街にある高級マンションで、部屋のお風呂から温泉が出る、プールやビリヤード場も併設されている素敵なマンションでした。サイの家族が温泉でリラックスしたい時だけに行く、台北から車で一時間弱の距離にある、礁溪という温泉街にある別宅でした。
 
 
別宅に荷物を置いてから礁溪のメインストリートに繰り出して、屋台で買い物をして部屋に戻ろうとした時、突然大雨が降ってきました。別宅まであと少しの距離でしたが、あまりに雨がひどかったので、近くにあった小屋から突き出したトタン屋根の下で雨宿りをしました。
 
 
雨は弱まる気配がなく、ずっと激しく降り続いていました。
 
 
「サイさ、今日うちら昼間霞海城隍廟行ったやん?」

「うん」

「何かお願い事した?」

「えりちゃんとずっと一緒にいたいってお願いした」


サイは甘い表情でもなく、はにかんでいるわけでもなく、当たり前でしょ?という顔で答えます。
 

私は、日本に完全帰国する前に、霞海城隍廟の月下老人にサイが私の事を大好きになりますようにと実は願掛けしたのだと、言おうかどうか迷ってやめました。
 

「えりちゃんは?」

「うん、うちもやよ」
 

私ももちろん、サイと一生一緒にいたいと月下老人にお願いしました。
 
 
街灯の光が、雨に激しく打ち付けられた石畳の道にぼんやりと反射していました。
 
 
つづく