日本人全ての思いでしょうが、福島第一原子力発電所でのFukushima 50の人たち、自衛隊、東京消防局ハイパーレスキュー隊による被爆覚悟の活動には大変感動するとともに感謝いたします。レスキュー隊員達のTVでのインタビューを見て、涙ぐんだ人は私だけではないでしょう。
これからもまだ予断を許さない状況は続くと思いますが、見通しの暗かったところに一筋の明かりが灯されたような感じです。今や頼りになるのは、あなた方だけのような気がします。隊員の皆さん方の健康を思い、毎日祈るような気持ちで活動を拝見しています。
それにしてもインターネットを介してのいたずらに危機感を煽るような風評は、少々見逃せないものがあります。
福島原発の3号機にはMOX燃料が保存されており、MOXに含まれるプルトニウムは猛毒で角砂糖5個分で1億人分の致死量がある、吸入すると100%癌になる等々です。
この説の根拠となっているものは1963年に報告されたLawrence Radiation LaboratoryのJohn W. Gofman (1918-2007)とその弟子 Arthur R. Tamplinの”POISONED POWER”という論文からです。
John W. Gofman
Arthur R. Tamplin
彼らはこの論文中で原子力発電の持つ危険性に警告を発しました。一つの原子力発電が広島型原子爆弾の1000倍の放射線を発し、長期間の低レベルの放射線照射は遺伝子レベルの障害を引き起こし、その危険性に閾値はないのだとしました。
この警告は無視できないもので、その後の原子力発電阻止運動の拠り所となったものでもありました。(恐らく原子力発電に反対されていた方々は、今日の福島原発の状態を見て、タンプリンらが心配していたことが現実になった、とお考えだろうと思います。)
彼らは、1979年のスリーマイル島の原発事故ではプルトニウムやI131(放射性ヨウ素)など放射性物質の低レベル放射線障害により、333人が死亡する予測をたてました。(長期間経過をした時点でも、この事故による死亡者は公式には認められませんでした。)
同様に彼らは、1986年のチェルノブイリ原発事故では、100万人の人が悪性腫瘍を生じ、半数は致死的であろうと予測しました。(実際の死亡数は56人で、このうち9人の子供が甲状腺癌で死亡しました。不幸な彼らは事故当時、ソビエト連邦政府からその危険性を知らされなかったのです。)
MOXのプルトニウム量が多いことは確かで、プルトニウムの毒性(主としてα放射線による)が高いことも確かです。ゴフマンやタンプリンが言うように、体内に吸収されると、長期間残留したプルトニウムが染色体に障害を与え発癌性を有することは間違いないでしょう。このような物質にさらされない方がよいに決まっています。
しかし、プルトニウムのある程度の飛散が予測される現時点でプルトニウムの誇張された毒性を、声高に叫び、日本人にパニックを起こさせることにどのような意味があるのでしょうか?(特にFukushima 50の人たち、自衛隊やレスキュー隊の人たちが命がけで戦っているときに)
CNNなどの海外のニュース番組では、それほどの根拠もないのに、まさによってたかって危険性をあおり立てています。
我々は専門家による正しい情報を元に、プルトニウムの危険性を正しく認識し、パニックにならず正しい対応をし、放射能の持つ危険性を回避しましょう(それは十分可能です。)
海外の根拠のないニュース番組やインターネットでの風評に惑わされず、冷静な対応をし、日本人の誇りを勝ち取りましょう。
あまりに危険性を煽る風評が拡がっているので、あえてこのブログで書くことにしました。