「ラ ドウルウ(苦悩)」
アルフォンス・ドオデ
森茉莉 訳
「マドゥモァゼル・ルウルウ」新潮社
「森茉莉全集 8」筑摩書房
に、収録
アルフォンス・ドオデは、「月曜物語」「アルルの女」「最後の授業」等がある。
その前に。
「マドゥモァゼル・ルウルウ」
(上)「森茉莉全集 8」筑摩書房(1994)
(右下)新潮社(1982)
(左下)薔薇十字社(1973)
(↓私物)
(トルコキキョウはクリアな色が多いけど、ボルドー(臙脂色)と、ローズピンク、くすんだ黄緑がかったオフホワイトのがあったので、買ってみた。)
薔薇十字社の装丁は、堀内誠一❗
すべての頁にラベンダーカラーの木蔭が印刷されている。
河出書房新社版の表紙と中の頁のイラストは、
宇野亜喜良❗
こちらもめっちゃかわいい~💟
やっぱ、ダークな少女のイラストなら、宇野亜喜良💕
本の、天、地、小口?の部分が⬆️の表紙のドレス(宇野亜喜良のイラスト)の色のピンクと同じ色。
前回の高柳重信と鈴木清順がアヴァンギャルドじーちゃんなら宇野亜喜良は“ダーク・ロマンティック・ラヴリーじーちゃん”だろうか?
「マドゥモァゼル・ルウルウ」を初めて知ったのは、『オリーブ』のBOOKページ。
イラストレーターの森本美由紀さんの紹介。
新潮社版(↑写真右下)だった。
超おしゃれな森本美由紀さんのイチオシ本だったので、読もうと思っていたのたが…
…いつの間にか 絶版になっていた。
その後、手にすることができて、その中にあった森茉莉が翻訳した作品のひとつに、
「ラ ドウルウ」(苦悩)
アルフォンス・ドオデ
が、あった。
ここで、ATTENTION!☆
ふつうはドーデーと記されているが、森茉莉の場合、ドーデーだと森茉莉ではなくなってしまう。ドオデ、なのである!筑摩書房刊の「森茉莉全集 8」(⬆️上)は、翻訳、戯曲、エッセイ等が収録されている。
森茉莉の場合、サラ・ベルナールは、サラ・ベルナアル。ピエール・ロチ(森茉莉はロチがお気に入り)は、ピエエル・ロチ。ギ・ド・モーパッサンは、ギ・ドゥ・モウパッサン。なので、ある。ルウルウはパパのことを「プパァ」と呼んでいる(因みに森茉莉は父の鴎外を“パッパ”と呼んでいた)。
森茉莉の小説に、ギドウという登場人物がいるが、“ギドーがセーターを着る”では森茉莉の小説が成立しない。“ギドウがスウェータアを着る”としなければいけない。
ドオデもいーじゃん?(←久々オバサンギャグ)と言われるかもだが、森茉莉の場合ドオデもよくないのである!(←冴えてる⁉️オバサンギャグ)
句読点の配置まで、こだわっているのが森茉莉の文学
「ラ ドウルウ」(苦悩)は、新潮社版と筑摩書房刊に収録されていて、7ページの短編。
散文詩のような。ストーリー的なものも、あるのだが…。
出だしは…
──本質的な真実。──悩み。
──あなたは何をなさってお出ですか、この頃?
──私は苦しんでゐる。
P.326
ちょっと脱線
yuchan、23歳のときにある資格試験を受けたんです。試験会場は古い建物で前のほうに黒板があって、長机が三列という配置(だったと思う)。
なんとyuchanの席は最前列の真ん中で目の前に試験監督がいるという状況🤣
(yuchanが聞こえないから、という配慮ではなく、まったくの偶然。まんま受験番号順)
試験前にちょっと説明があって…
と、そのとき…
0.00000000…1秒くらいだろうか?
とつぜん、目の前の黒板が真っ赤になって、
可愛さうな夜の鳥、壁を羽で打ちながら、見えない眼を開いて……
P.327
他人に病を聞くのは慰めだ。聞くともう直つてしまふ程だ」あの病人の国ミヂイ(注 フランス中部)の格言。
P.328
目の前の試験監督のおっちゃんが…
自殺の事を考へる。──N***に遇ふ。俺の考への尻尾に続けて伝つた彼れの言葉……「最初の彼岸から第二の岸への過程だ。」ストリキニイネ──そんな事はしてはならない事だ。
P.332
「中国女」のジャン=ピエール・レオになり、煙草を吸っている…
そして…
黒板に向かって…
(試験監督のおっちゃんは、ジャン=ピエール・レオに似ても似つかぬフツーのおっちゃん。というかどんな人か忘れました)
そのとき、yuchanの頭の中に「ラ ドウルウ」のラストの言葉が、響きわたった!
(このラストの言葉、すごく気に入ってます)
* * * * *
記憶。非常な弱さだ。
印象は直ぐに消えて行く。壁に吹きかけた煙。
P.322
(太字すべて「森茉莉全集 8」筑摩書房から引用)
煙草の煙を吹きかける…
(試験が始まった…)
「中国女」で共演したアンヌ・ヴィアゼムスキーの私小説を紹介しています。
「彼女のひたむきな12カ月」では、ゴダールとの付き合い始め~結婚、60年代のパリ、祖父のフランソワ・モーリアック…その他、映画関係者や著名人が実名で登場し、当時の様子が書かれている。
「中国女」は、モノクロの予定だったがアンヌ・ヴィアゼムスキーがマリー・クワントが好きでカラーに変更。「中国女」のためにゴダールが自宅を部屋ごとに色を塗り替えて撮影に使った、等。
アンヌ・ヴィアゼムスキーも、ゴダールも、アンナ・カリーナもジャンヌ・モローも、亡くなってしまった…
現在、ジャン=ピエール・レオがいろんな事情で苦しい状況のようですが…
以前、諏訪敦彦監督作品の「ライオンは今夜死ぬ」という作品に出ているようです。
ジャン=ピエール・レオの画像を作ってみました。
過去ログに5年前くらいの本棚の一部の画像を載せてます。
下の赤い紙を貼った木箱が、「森茉莉&尾崎翠の本棚」です。
(。・∀・。)ノ
今は森茉莉の本たくさん出ているけど、私が20代の初めは、ほぼ絶版だったので、見つけるのに苦労しました~
MATANE~