「ラ ドウルウ(苦悩)」

   アルフォンス・ドオデ

   森茉莉 訳

「マドゥモァゼル・ルウルウ」新潮社
「森茉莉全集 8」筑摩書房
  に、収録

アルフォンス・ドオデは、「月曜物語」「アルルの女」「最後の授業」等がある。



その前に。

 




「マドゥモァゼル・ルウルウ」
   ジィップ 著
   森茉莉 訳 
   宇野亜喜良 装画
   河出書房新社(2009)

(↓図書館の本)



「マドゥモァゼル・ルウルウ」
(上)「森茉莉全集 8」筑摩書房(1994)
(右下)新潮社(1982)
(左下)薔薇十字社(1973)

(↓私物)
(トルコキキョウはクリアな色が多いけど、ボルドー(臙脂色)と、ローズピンク、くすんだ黄緑がかったオフホワイトのがあったので、買ってみた。)

薔薇十字社の装丁は、堀内誠一❗
すべての頁にラベンダーカラーの木蔭が印刷されている。

河出書房新社版の表紙と中の頁のイラストは、
宇野亜喜良
こちらもめっちゃかわいい~💟
やっぱ、ダークな少女のイラストなら、宇野亜喜良💕
本の、天、地、小口?の部分が⬆️の表紙のドレス(宇野亜喜良のイラスト)の色のピンクと同じ色。
前回の高柳重信と鈴木清順がアヴァンギャルドじーちゃんなら宇野亜喜良は“ダーク・ロマンティック・ラヴリーじーちゃん”だろうか?


「マドゥモァゼル・ルウルウ」を初めて知ったのは、『オリーブ』のBOOKページ。
イラストレーターの森本美由紀さんの紹介。
新潮社版(↑写真右下)だった
超おしゃれな森本美由紀さんのイチオシ本だったので、読もうと思っていたのたが…
…いつの間にか 絶版になっていた。

その後、手にすることができて、その中にあった森茉莉が翻訳した作品のひとつに、

「ラ ドウルウ」(苦悩)
  アルフォンス・ドオデ

が、あった。


ここで、ATTENTION!☆

ふつうはドーデーと記されているが、森茉莉の場合、ドーデーだと森茉莉ではなくなってしまう。ドオデ、なのである!筑摩書房刊の「森茉莉全集 8」(⬆️上)は、翻訳、戯曲、エッセイ等が収録されている。
森茉莉の場合、サラ・ベルナールは、サラ・ベルナアル。ピエール・ロチ(森茉莉はロチがお気に入り)は、ピエエル・ロチ。ギ・ド・モーパッサンは、ギ・ドゥ・モウパッサン。なので、ある。ルウルウはパパのことを「プパァ」と呼んでいる(因みに森茉莉は父の鴎外を“パッパ”と呼んでいた)。
森茉莉の小説に、ギドウという登場人物がいるが、“ギドーがセーターを着る”では森茉莉の小説が成立しない。“ギドウがスウェータアを着る”としなければいけない。

ドオデもいーじゃん?(←久々オバサンギャグねー)と言われるかもだが、森茉莉の場合ドオデもよくないのである!(←冴えてる⁉️オバサンギャグねー
句読点の配置まで、こだわっているのが森茉莉の文学


「ラ ドウルウ」(苦悩)は、新潮社版と筑摩書房刊に収録されていて、7ページの短編。
散文詩のような。ストーリー的なものも、あるのだが…。


出だしは…


──本質的な真実。──悩み。
──あなたは何をなさってお出ですか、この頃?
──私は苦しんでゐる。

P.326



ちょっと脱線キラキラ


yuchan、23歳のときにある資格試験を受けたんです。試験会場は古い建物で前のほうに黒板があって、長机が三列という配置(だったと思う)。
なんとyuchanの席は最前列の真ん中で目の前に試験監督がいるという状況🤣
(yuchanが聞こえないから、という配慮ではなく、まったくの偶然。まんま受験番号順)
試験前にちょっと説明があって…


と、そのとき…


0.00000000…1秒くらいだろうか?

とつぜん、目の前の黒板が真っ赤になって、





可愛さうな夜の鳥、壁を羽で打ちながら、見えない眼を開いて……

P.327

他人に病を聞くのは慰めだ。聞くともう直つてしまふ程だ」あの病人の国ミヂイ(注 フランス中部)の格言。

P.328




目の前の試験監督のおっちゃんが…






自殺の事を考へる。──N***に遇ふ。俺の考への尻尾に続けて伝つた彼れの言葉……「最初の彼岸から第二の岸への過程だ。」ストリキニイネ──そんな事はしてはならない事だ。

P.332






「中国女」のジャン=ピエール・レオになり、煙草を吸っている…
そして…
黒板に向かって…


「中国女」より

(試験監督のおっちゃんは、ジャン=ピエール・レオに似ても似つかぬフツーのおっちゃん。というかどんな人か忘れました)




そのとき、yuchanの頭の中に「ラ ドウルウ」のラストの言葉が、響きわたった!
(このラストの言葉、すごく気に入ってますほっこり音譜

*  *  *  *  *


記憶。非常な弱さだ。
印象は直ぐに消えて行く。壁に吹きかけた煙。

P.322
(太字すべて「森茉莉全集 8」筑摩書房から引用)





煙草の煙を吹きかける…






(試験が始まった…)







「中国女」で共演したアンヌ・ヴィアゼムスキーの私小説を紹介しています。
「彼女のひたむきな12カ月」では、ゴダールとの付き合い始め~結婚、60年代のパリ、祖父のフランソワ・モーリアック…その他、映画関係者や著名人が実名で登場し、当時の様子が書かれている。
「中国女」は、モノクロの予定だったがアンヌ・ヴィアゼムスキーがマリー・クワントが好きでカラーに変更。「中国女」のためにゴダールが自宅を部屋ごとに色を塗り替えて撮影に使った、等。

ダウン




アンヌ・ヴィアゼムスキーも、ゴダールも、アンナ・カリーナもジャンヌ・モローも、亡くなってしまった…


ゴダール・カラーにしてみました


現在、ジャン=ピエール・レオがいろんな事情で苦しい状況のようですが…
以前、諏訪敦彦監督作品の「ライオンは今夜死ぬ」という作品に出ているようです。




 



ジャン=ピエール・レオの画像を作ってみました。





































過去ログに5年前くらいの本棚の一部の画像を載せてます。
下の赤い紙を貼った木箱が、「森茉莉&尾崎翠の本棚」です。
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(。・∀・。)ノ赤薔薇ピンク薔薇赤薔薇ピンク薔薇

今は森茉莉の本たくさん出ているけど、私が20代の初めは、ほぼ絶版だったので、見つけるのに苦労しました~チューあせる

MATANE~花束