キス魔マン(〜最終章〜)
高鳴る鼓動と、激しく乱れる呼吸を整えながら、静かに息を潜めた。
ドキ…ドキ…ドキ…
「どっちがいい?」
顔がぴったりくっつくくらいの近い距離で、
息切れ一つせずに
その男が、いた。
ヒィイィっっ!!!
思わず声を出した。
もう、、ダメだ。
恐怖と諦めで、涙目になりながら下を向いていると、
「答えないのかぁ。
仕方ないからジュース買ってあげる。」
そう言い、男は上半身裸のまま自販機に向かった。
私「え、、いいの?」
男は小さいリンゴジュースを買うと、
私の口へと運んだ。
…ゴクリ。
緊張なのか、恐怖なのか、
私の口からリンゴジュースがタラリと溢れた。
「あーぁ。こぼした。」
そう言い、私の濡れた唇に指を添えると、
男は私を見つめた。
私「あっ。。⁈」
自分夢の中というものは、なんて都合が良く出来ているのであろうか。
なんと。男がめちゃくちゃイケメンになっているのである。
(しかも金髪で王子様みたいになってた笑)
男は、ゆっくり、ゆっくり顔を近づけてきた。
((えっえっ、リンゴジュースで濡れた唇ごと、啜りながらキスする感じ?!
めっちゃエロいじゃん!めっっちゃエロいじゃん!!!))
私の心の中はもう、キスへの期待と高揚感で溢れ、恐怖なんて一ミリも無くなっていた。
渾身のトロン顔で、キスを受け入れようとした。
その時だ。
♪トゥルルんトゥントゥントゥントゥン♪
温泉から上がったであろう、旦那タソからの電話…。
電話…???
グワァァアーーーーーン🌀🌀🌀
(夢から現実に引き戻される音)
夢から冷めると、ベッドの上で鳴る携帯。
そう。
仕事が終わった旦那タソからの、電話が鳴っていた。
私「…はぁい」
旦「仕事終わったよ、お風呂よろしくね」
私「はぁい、もう少し寝るね」
プツッ…
ツー、ツー、ツーー……
「…。」
「………。。。」
クソオオオォオオオオオオオオオ( ꒪口꒪) ( ꒪口꒪) ( ꒪口꒪) ‼️‼️‼️‼️
もう少し!あと少し!あと2ミリだったのにいいいいいい!!!
死ぬほどトロけるキスしたかったぁあああ!!!
うぉおおおおおおお!!!!!!
その後、続きを見ようと目を瞑り、しばらくあがいてみるも、
キス魔マンに会えることは無かった…。
夢の中でも悪いことはできないということなのか…。
しかし、現実に引き戻されたとともに、
こんな夢を見る私の脳内も心配だった。
何よキス魔マンって。お尻ぺんぺんって笑)
今回はそんな形でこのお話は幕を閉じたわけですが。
私はまだ諦めていません。
キス魔マン、またいつか、私にあの言葉を言いにきてね。
そしたら迷わず答えるよ。
「キスでお願いします❤️」
〜完〜
*補足:うちの姉が最初にキス魔マンのキスが最高と言った訳ですが、
実際のうちの姉はそんな事を言うような人では全くなく、旦那さんと仲良しおしどり夫婦の良妻です。
姉なら間違いなくお尻ぺんぺんを選ぶでしょう。(笑)