日時:2002年6月13,14日

 

コース:林道土場⇔沢⇔尾根乗越⇔岩壁基部⇔崕山

 

 崕山(きりぎし)は夕張山地の東北部に位置し、石灰岩でできた奇岩が連なる山で、固有種のキリギシソウや希少種が咲く貴重な山です。希少植物の盗掘が横行した為、1999年より日本で初めて全山が登山禁止になり、崕山に登るには、崕山自然保護協会が主催するモニター登山に参加するしかなくなりました

 

 芦別市の「星の降る里、百年記念館」での研修会で観た、崕山のスライド写真です。キリギシとは「切り立 ったがけ」のことで、山頂から皿を立てたような恐竜の背中を思わせる岩稜が連なっていますね。モニター登山前日は研修会が有り、ビデオやスライドを見せられました。

 崕山モニター登山に参加するには10倍近い競争率の抽選に当選するのが第一歩で、私は3年目で当選しやっと崕山モニター登山に参加できました

 

 研修会で見たキリギシソウの写真です。キリギシソウはキタダケソウやヒダカソウと同じ仲間で絶滅危惧種です。大規模な盗掘が相次ぎ、絶滅寸前となっているそうです

 

 研修会で見たキバナノアツモリソウの写真です。崕山のキバナノアツモリソウも大規模な盗掘が相次ぎ、絶滅寸前となっているそうです

 

 「星の降る里、百年記念館」の展示館には、崕山のジオラマなどが有りますので研修後に見学しました。この後、モニター登山参加者は芦別市青少年センター分館へ移動し夕食を頂き宿泊しました。※参加費はバス代、3食付きで6000円でした

 

 2日目の登山当日の朝食を芦別市青少年センター分館で頂きました。朝食後、バスにて47㎞も離れている登山口まで移動します。なお登山口から11 ㎞手前の林道にゲートが有るので一般車は入れません

 

 惣芦別川沿いの林道脇の土場跡でバスを降りて林道を歩くと、程なくして尾根西側の南崕西沢に入ります。また出発前に携帯トイレを渡され、なおストック、スパイク長靴は禁止です。※翌年の2003年からは東側の「扇の沢」コースに変更されています

 

 山頂から南に連なる尾根西側の南崕西沢を登ります。当年も登山者の靴からのタンポポやオオバコなどの種を洗い流す為と道の踏付けが広がるのを防ぐ為に沢コースになりましたが、前年(2001)は大雨で中止になったそうです

 

 ナンブソウです。チョウノスケソウの植物採集家の須川長之助が岩手県で採集したので名が付いたそうです

 

 沢をへつり・高巻等をしながら歩くと30m位の階段状の滝に出会いますが、右岸にロープが設置されていました。このフィクスロープはモニター登山の度に設置するそうで、その都度撤去するそうです

 

 ミドリニリンソウです。芦別山岳会の方によると、「ここでは花びらが緑化したニリンソウが特に沢筋でよく見つかります。緑化するのはウィルスによる突然変異ではないかと言われている」と言っていました

 

 更に沢を登ると涸沢になり、急坂を登ると尾根に出ます。沢の両脇にはエゾリュウキンカが咲いています。※別名・ヤチブキと言われています

 

 尾根を乗越すと岩峰が見えて来ました。岩峰基部をトラバース気味に登ますが、山頂まではかなり急な登りです。岩壁と足もとには高山植物が多くなり、歩くのが遅くなります

 

白いシラネアオイが多く有りました

 

エゾノハナシノブです。北岳と白馬岳に咲くハナシノブの仲間です

 

岩峰や岩塔の基部に咲く希少種の花をみながらの歩きです

 

エゾグンナイフウロですトカチフウロとも言われます

 

サクラソウモドキです

 

岩峰基部を花を観ながらトラバース気味にゆっくり登ります

 

まだ蕾のホテイアツモリソウがありました

 

見頃のホテイアツモリソウも数輪有りました

 

 振り返り見る、歩いて来た岩壁基部の道です。なお全滅しかけたキリギシソウとキバナアツモリソウは、入山禁止以降、3年間の保護活動で復活し始めているそうですが、今回のコースからは見ることは出来ませんでした

 

 まだ蕾のオオヒラウスユキソウです。ハヤチネウスユキソウと似た大きさの花で北海道の大平山と崕山に咲くそうです

 

 岩壁に希少な花々が咲いています。岩の基部にトチナイソウが見えると教えて頂きましたが、小さい花で遠すぎます。トチナイソウは、北海道の3山(礼文島、ポロヌプリ山、キリギシ山)と本州の早池峰にだけ咲くそうです

 

アポイアズマギクの白花です。アポイ岳とここにしかない花です

 

 カマヤリソウです。図鑑で調べるとビャクダン科カナビキソウ属という聞きなれない地味な植物で、北海道、本州北部(栗駒山)に分布するそうです。鎌槍草と書くので槍ヶ岳の鎌尾根で確認されると面白いですね

 

 崕山(1066m)山頂岩峰です。最高点へは10m位の岩登りですが、下りが大変です。自信のない方は登りませんでした

 

 岩峰の山頂へは数名づつ交代で登り、下ってから基部で休憩します。※現在は岩峰の山頂へは危険防止と自然保護のため登れず、岩峰基部を山頂としているそうです

 

 岩峰の崕山(1066m)山頂から眺める南側の岩稜です。皿を立てたような岩稜が南へ連なっています

 

崕山(1066m)山頂から眺める東側の芦別岳(雲の中)方面です

 

崕山(1066m)山頂から眺める北側の山々です

 

 帰路に再度見たホテイアツモリソウです。下山後はまた「星の降る里、百年記念館」に集合して反省会が有り、この崕山の入山制限のあり方やモニター登山についてのアンケートが有りました