広島県に行く機会を得たので、せっかくだから!とウッドワン美術館に行ってきました。
廿日市市と言えど、遠かった…。

展覧会のテーマは日本絵画。
興味深かったのは、同じ作家の初期と晩年の作品を比べて展示することによって、描き方がどのように変化したか、どんな心情を読み取れるかを考察した点です。
あるテーマに基づいた作品が並べられること、ある所蔵館の作品を一堂に展示することはよくある展覧会の見せ方ですが、様々な画家の作品を2枚並べて、月日が経つにつれて描線がどのように変化したか、何が転機となって変わっていったかなどに注目するのは新鮮な着目点でした。

例えばチラシの表面に描かれているのは上村松園のもので、着物の襞などの部分を細かく描写した30歳代のころの作品です。丁寧に書き込んだ若いころに比べ、60歳代は描く線の数が少なくなり、簡潔な表現に変化していきます。
私な絵画の専門家ではないので、解説がないとその違いには気付けません。そして作品を見てもそのような変化に注目しなかっただろうと思います。
好きな画家の作品であれば、きっと多くの作品を見ているでしょうから、雲の描き方、筆の扱い方についても気付くことがあるでしょう。そしてその変化を意識せずとも楽しんでいると思います。

今回の展覧会は、一つ一つの作品に若いころ、晩年のころの変化についてよく分かる解説があって、細かい部分に注目できるように誘導してくれていました。
同じ作家の作風の比較、師弟関係の受け継がれた描写の比較、同じテーマで異なる画家が描いた風景の比較など、絵画の新しい見方を教えてくれる展覧会でした。
解説キャプションも含めて、学芸員さん?の企画力が光っているなという印象です。
絵画とじっくり向き合う良い機会になりました。
横山大観、藤島武二、伊東深水、ルノワール、ゴッホ、小倉遊亀、佐伯祐三など名だたる作家の作品を多く展示していて驚きました。

常設展は、マイセン磁器とアール・ヌーヴォーのガラス作品、幕末・明治の薩摩焼の展示がありました。
豪華すぎて声が出ませんでした…。
私は初めてウッドワン美術館を訪れました。
常設展にこんな作品が並んでいるとは知らなかったので、作品の神々しさに驚きました。
常設展示室は別棟となっていますので、ぜひお忘れなく。

↑特別展会場の入口。

↑アクセスはあんまりよくないですが、静かな場所です。

訪問した日は入館者が少なくて、じっくりゆっくり作品を見ることができました。

 

刀の展覧会があると聞いて佐川美術館に行ってきました。


静岡県にある佐野美術館の刀剣コレクションを中心とした展覧会です。
とにかく展示されている刀剣が美しい。
私の刀への知識は一般レベル以下ですが、刀は好きで、いろんな場所で国宝や重要文化財に指定されている刀や鍔、それにまつわるもの(刀装具など)を見てきました。
(岡山県にある備前長船刀剣博物館にも行きました)

展示室には刀の名称や云われなど細かい解説がキャプションとして添えてあるので、初めての方も楽しめます。

茶室では入室する際、帯刀しない習慣があったようで、入口付近に「刀掛け」があることを今回の展覧会で初めて知りました。
その様子が再現されていて、こんな高い場所に設置されているのか、とか、入り口から少し遠いな、とか(設置場所は各々の茶室に依るかもしれない)非常に身近に感じました。

武士と言えば刀が必然的に添えられた姿を想像するくらい武士の魂に近い存在だと思います。
その刀を手放して茶室に入る。
予想以上に小さいにじり口を通って。
にじり口を小さく設計したのは千利休で、茶室の中では全ての人が平等であり、上下関係、身分に関係なく頭を下げて入室するように、このような形になったとのことです。
茶室の作法は全く知りませんが、奥が深いですね。

刀の展示から茶室へと知識が広がっていく。
大変興味深く、面白かったです。
今度再現された茶室を見つけたら刀掛けがあるか見てみよう。
(茶室を移築したり保存したり、再現したりしていてちょこちょこ茶室を見る機会はあります)

あいにくの雨模様+展示室は撮影禁止だったので、ほぼ記録写真はないですが、素敵な美術館なので、機会があればぜひ。
地下展示室に「樂吉左衞門」コーナーがあって、とても斬新な作品が並んでいます。
(樂吉左衞門は茶碗師なんですよね…)

近つ飛鳥博物館を訪れるのは7年振りくらい?
考古学を勉強していたころは展覧会が開催される度に行っていたような気がします。

博物館の周りは近つ飛鳥風土記の丘となっていて、実際にいくつかの古墳を見ることができます。
イベントとして古墳散策があったと思うし、風土記の丘の自然と触れ合う行事もあった気がします。
博物館の遺物で勉強して、実際の古墳で確認する。
古墳で見たこと、感じたことを博物館の展示品で復讐する。
知識や歴史を確認する。

そういった複合的な学習ができる施設です。
博物館の理想形と言えます。
机上の学問に留まらないこと。
気になったときにきちんと実地確認ができること。
体験して自分の中に経験(実体験)として落とし込めること。

1階はフリースペースなので、散歩がてら立ち寄る人、図書コーナーを見に来る人もいるのではないでしょうか。
駅からの交通手段がものすごく不便なのが残念です。
もっとアクセスが良ければ地元民だけでなく多くの人に知られるスポットだったのかもしれません。
安藤忠雄建築だけが魅力なのではなく、考古学について深く学べる施設なのでオススメです。

見どころはやはり大山古墳の築造時の姿を150分の1のサイズで復元したものです。
約3,000体の人形がいるらしい。ひとつひとつがとても細かいんです。
怠けている人や仕事をしていない人、昼寝をしている人とかいそうなんですが、解説にはそういう説明はなくてまじめな人々が描かれています。
実際の古墳は巨大すぎて、かつ立ち入り禁止なのでどうなっているか分からない。
全体像が見えないことが多いので、想像しづらいので、この模型は非常に分かりやすくていいなと思います。
とにかく見ているだけで楽しい。

今回の特別展は、世界文化遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群で、古墳の築造に携わった「土師氏」に注目した展覧会です。

毎回百舌鳥・古市古墳群を訪ねていたいと思いつつ、暑かったり寒かったり、忙しかったり心の余裕がなかったりしてタイミングが合いません。
世界遺産に登録されて賑わっているのかな。
堺市博物館も地域に密着した展示品が数多くあって好きです。

近つ飛鳥博物館の館内の様子はこちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=wYoR37O6MnI