日本の男子プロゴルファーが、初めて世界のメジャーチャンピオンとなりました。しかも、米国でも最も伝統と格式のあるマスターズ・トーナメントで。これまで、ジャック・ニクラウスやタイガー・ウッズはじめ、多くのビッグネームが歴代優勝者に名を連ねるマスターズで、初めてアジアの選手がグリーンジャケットを手にしました。

今回の松山選手は、3日目にノーボギーの6アンダー(66)を出し、4打差の首位で最終日のプレーをスタートしました。しかし、優勝が近くなってきた後半でグリーンを狙ったボールが池に入るなどピンチの連続で、朝早くからテレビの前で応援していた私もじっと座っていることができずにハラハラドキドキ。最後は1打差での優勝となり、日本のテレビアナウンサーや解説者も涙声なのを聴いて思わずもらい泣きしてしまいました。

松山選手が最初にマスターズに出場したのは10年前の2011年で、あの東日本大震災のすぐあとでした。この時はベストアマチュア(27位タイ)となりましたが、それ以降、毎年のマスターズ出場でベストテンフィニッシュも何度もありながら、他のメジャーも含めてなかなか勝てず、10年目の今年、20代最後の歳(29歳)でやっと悲願が達成できたということになります。

今回、松山選手が勝てた要因は、もちろん実力や経験などが十分に蓄積されていたことが大きいでしょうが、長年コーチなしで戦ってきたのが最近やっと日本人のコーチをつけ、キャディも含めた「新・チーム松山」として一緒に戦ったのが大きいと思います。これによってプレッシャーのかかる場面や不本意なショットの後でも、あの松山選手にはめずらしい笑顔が見られましたし、それがいくつかのラッキーを呼びこんだようにも思います。ここ数年、米国ツアーでもなかなか勝てなかった松山選手が、この大きな舞台で優勝することができたのは、そのような笑顔、心の余裕の賜物でしょう。

やはり、人は一人で孤独な戦いをすることは大変です。特にゴルフはメンタル面での影響も大きいので、このようにしてチームで一緒になって喜怒哀楽を共にするということは重要ですね。そして、2019年に日本の渋野日向子選手(当時20歳)が、全英女子オープンゴルフに初出場して、あの「渋野スマイル」でメジャーチャンピオンとなったことも松山選手にいい影響を与えていたのではないでしょうか?

松山選手は優勝インタビューで、「これで日本人プレーヤーももっとメジャーでも勝てるようになるだろうし、自分もさらに頑張る。」と話していました。菅首相も喜びのメッセージを寄せていましたが、コロナ禍で明るい話題の少ない日本にとって、この夏に東京オリンピックの開催を目指している中での松山選手のマスターズ優勝は、多くの人に勇気と希望を与えるものとなりました。

あらためて、松山選手、おめでとう!そして希望の光を有難う!!