いろいろなドラマを生み、私達に多くの感動を与えてくれたパリオリンピックが終わり、8月11日の閉会式で、4年後のオリンピック開催予定のロスアンジェルスにバトンが引き継がれました。8月28日からはパラリンピックが開催されますので、私達はまだまだパリの余韻を楽しむことができると思いますが、これはまた少し違った雰囲気になることでしょう。

今回のパリオリンピックで日本選手は合計20個の金メダルを獲得し、メダル総数も45個と期待通り(期待以上?)の活躍でした。特に、馬術やフェンシング、ヨット(セーリング)、近代五種、ゴルフなど、幅広い種目でのメダル獲得が目立ちました。また、男子体操団体での大逆転金メダルや卓球など、ハラハラドキドキのドラマも多かったですし、スケボーやブレイキン、スポーツクライミングなどの新しい種目での若い選手の活躍も目立ちました。柔道に加えて男女レスリングでのメダルラッシュ、陸上女子やり投げの北口榛花選手の圧倒的なパワーと笑顔の金メダルなども大変印象的でした。

そんな中、私が特に感動したのは、最終日の女子マラソンで51位だった一山麻緒選手のレース後のインタビューでした。順位はともかく、沿道の多くの観衆を間近に感じながらのマラソン完走で、一山選手個人、あるいは日本へのたくさんの応援を世界中の人からもらって、そのことでオリンピックの素晴らしさ、そして、「無観客の東京五輪では味わえなかった観客と選手の一体感」を味わうことができたということです。

 


こういうことこそが、平和の祭典「オリンピック」の本当の醍醐味ですね。セーヌ川を下る各国代表毎の大小の船の上で選手団が入場?するという型破りな開会式に始まって、エッフェル塔やコンコルド広場、そしてベルサイユ宮殿といった著名な歴史的観光名所を舞台にしたパリオリンピックのおしゃれさ、華やかさ、そして多様さに魅了された16日間でした。各国の代表が競う各種スポーツを通じて、文化と芸術の街、パリの素晴らしさをあらためて感じました。日本人が憧れ続けてきたパリの歴史にまた一つ、新たな歴史が刻まれました。

最後に、永井荷風が1909年に上梓した「ふらんす物語」に刺激を受けたという萩原朔太郎の詩「旅上」の冒頭部分を・・

ふらんすに行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背廣をきて
きままなる旅にいでてみん