今年で4年目になる「紀南アートウィーク」(実行委員長:藪本雄登氏)の展示イベント「いごくたまる、またいごく展」が、9月下旬に田辺、白浜エリアで開催され、私も主な作品を見学させて頂きました。また、オランダ人アーティストのヘアート・ムルさんやイタリア・ミラノ在住の現代アーティスト(廣瀬智央さん:「コモンズ農園プロジェクトを推進中」)をはじめとするアーティストの皆様、アートウィーク関係の皆様に実家のシェアハウス「トーワ荘」を利活用して頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 



各展示作品の詳細についてはここでは割愛しますが、今回は、全体として、南方熊楠がその不思議さと魅力に取り憑かれた「粘菌」に関連したアート作品、そして東南アジア(カンボジア、ベトナム、タイなど)の現代アーティストによるユニークな映像作品(生命や宇宙の神秘、東洋的な奥深さを感じさせる、ある意味で「熊楠的」とも言えるような)の展示が多かったのが大きな特徴でした。

ヘアート・ムルさんは、オランダの森林などで木や落ち葉などを含む数万点の写真を撮影して、そのデータを全てコンピュータにストアした上で、それを生成AIで処理してゆっくりと動く動画を作らせ、その映像が実際の粘菌の動きに似ていることを紹介する作品を展示していました(田辺市の南方熊楠顕彰館)。今回、ムルさんはトーワ荘に2ヶ月近く滞在して熊楠ゆかりの場所を訪問。また熊野の森に入って多くの写真を精力的に撮影し、今後、それを生成AIで処理しながら、熊楠的な作品を創作するということです。その作品は、来年公開されるようですので、楽しみに待ちたいと思います。

今年のノーベル物理学賞や化学賞は、いずれもAIに関わる基礎的な成果を挙げた研究者に授与されることが発表されましたが、今後、アートの分野においても、AIを活用しながら、人間的な感性と組み合わせるような作品が多く生み出されていくのでは、と期待します。