★令和5年12月5日、東京弁護士会,第一東京弁護士会及び第二東京弁護士会の民事介入暴力対策委員会の弁護士が,東京都内の高校で特殊詐欺について学校に出向いて授業をしました。民事介入暴力対策委員会は,分かりやすく言えば「ヤクザ対策委員会」です。委員会の弁護士は,特殊詐欺の事案において多くの若い人々の悲劇を見てきたことから,高校生にはそのような悲劇を味わって欲しくないと考えて,このような授業を行ったとのことです。授業の内容が,弁護士向けのニュースに紹介されていましたので,その概要についてお伝え致します。

 

★警察庁の統計によると,令和2年における特殊詐欺の「受け子」や「出し子」などで検挙された者は約1900人であり,このうちの約7割が10代あるいは20代でした。地元の友人や先輩から誘われたり,SNSの「高額バイト」の募集、繁華街でのリクルートが契機となることが多いとのことです、特殊詐欺を行うヤクザ組織は,「簡単に稼げる仕事があるよ。」などと甘い言葉をかけて誘ってくるのですが,一度足を踏み入れれば使い捨てとしか思われないので,捕まるまで利用されてしまいます。そして,途中でヤクザ組織から逃げだそうとしても,組織にかかわりを持った時点で身分証の画像や個人情報を送付しており,悪いことをに手を染めているという弱みを握られているので,抜けられなくなってしまいます。

 

★実際にヤクザ組織にかかわってしまうと,「やめる。」というと,暴力を振るっているリンチ画像を見せられたり,「家ににおしかけるぞ。」などと言って脅かされたりします。そうすると,精神的にもおかしくなり始めます。甘い話に乗ったばかりに加害者であると同時にヤクザ組織に被害者にもなってしまうのです。また,受け子や出し子は,被害者に直接接触するので逮捕されやすく,成人であれば前科がなくても実刑になることが多く,少年の場合には少年院送りになる例が多いです。加えて,被害者が受けた損害に対する賠償義務は,破産しても免責されないため,ずっとついて回る可能性があります。

 

★私も弁護士として,国選で特殊詐欺の受け子や出し子の弁護人をしたことがありますが,上記東京弁護士会等の弁護士が授業で述べたことは本当の話です。このブログを見てくれた人、殊に10代、20代の若い人は,絶対に特殊詐欺にはかかわらないで下さい。簡単に稼げる仕事などあろうはずもありません。特殊詐欺によって服役することになったり少年院に収容されることになれば,就職や結婚などにも悪い影響をあたえます。くれぐれも目先の数万円の報酬に目がくらんで悪事に手を染めることのないようお願いしたいと思います。

 

 

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