★令和4年10月12日午後0時から午後1時迄の間,参議院議員会館1階講堂で開催された入管・難民制度のあるべき姿を求める院内集会にZoomにて参加しました。入管・難民法のあるべき姿についての日弁連の考え方の報告や送還・収容にかかる法制度についての報告,そして,入管・難民法をめぐる各種訴訟における当事者たる外国人や弁護団の弁護士からの事件についての報告がなされました。私が興味を持って聞いたのは,日本の入管収容は国連自由権規約違反であることを主張の骨子とする訴訟でした。

 

★この訴訟は,イラン国籍で難民申請をしている方とトルコ国籍で難民申請をしている方が当事者になっています。イラン国籍の方は合計1357日,トルコ国籍の方は合計1384日それぞれ収容されました。令和2年8月28日、国連恣意的拘禁作業部会は,これら2人に対する入管収容のみならず,日本の入管法そのものが自由権規約に違反するものであり,2人に対して賠償すべきであるという意見を採択しました。しかし,日本政府はこの意見に従わないので,日本の裁判所において2人に対する入管収容が自由権規約に違反していることを明らかにすべく令和4年1月13日に提訴したものです。

 

★主張の骨子は以下のとおりです。自由権規約によって恣意的な拘禁(収容)は禁じられています。この2人に対しては,無期限・長期の収容や2週間の仮放免の後の再収容は合理性や必要性がないので違法な恣意的な拘禁にあたります。また,自由権規約は,身体拘束に司法審査を必要としています。しかし,日本の入管収容は司法機関が審査しないので自由権規約に違反しています。さらに,自由権規約では,規約に反して身体を拘束された者は賠償を受ける権利があるのですが,これら2人は上記のとおり規約に違反して収容されたので賠償を受ける権利があります。

 

★弁護団は,自由権規約は条約であって法律より上位にあることから,入管法は自由権規約に違反する旨主張し,違法な収容によって精神的,身体的に重大な被害が生じているので,当然政府に賠償してもらうべきであるとの主張を展開しております。この訴訟において,日本の裁判所が入管法についてどのように判断するのか今後も注目していきたいと思います。

 

 

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