★報道されているところによれば,昨年(令和3年)8月のアフガニスタン政変後,実権を握ったイスラム原理主義組織「タリバン」支持者による迫害などを恐れて日本に退避した800人余りのアフガニスタン人(日本大使館の現地職員,JICAの元職員やその家族、日本のNGOの元スタッフやその家族,日本への元留学生)のうち、首都カブールの日本大使館で働いていた現地職員とその家族ら計98人が難民と認められたことが23日分りました。過去最多となった日本の昨年1年間の難民認定数である74人を上回る異例の大量許可です。旧政権関係者や協力者への襲撃が続く中,退避者の安全など人道面に配慮して政変1年を機に長期滞在へ道を開いたようです。

 

★アフガニスタンの旧政権は昨年8月に駐留米軍の撤退に伴って崩壊しました。そして,現地の日本大使館やJICAの職員,民間組織で働いていたアフガニスタン人と家族らは,旧政権の支援国に協力した「外国の手先」としてタリバン支持者らに命を狙われる危険が浮上したため,官民の支援で日本に退避していました。今回難民認定をされた98人は日本大使館の元現地職員と家族らであり,今月19日付で難民認定されたとのことです。日本のために働いた人々に優先的に保護を与えるという外交上の配慮を示す目的もあったようです。

 

★ただ、日本のNGOの現地スタッフや日本に留学経験のある退避者の中にもタリバン暫定政権が続く間は安全が保障されないとして日本定住を望む人が多い状況であり,今後認定が広がる可能性もあるようです。国連難民高等弁務官事務所によれば,アフガニスタンでの政変を挟んだこの1年半に少なくとも18万を超すアフガニスタン人が国外へ脱出し,日本も米国などと歩調を合わせ,特例として受け入れ「短期滞在」資格で90日の滞在を認めてきました。90日を超えた場合でも本人の意思に反して送還しないよう求める声を踏まえて出入国在留管理庁は希望者に対して就労できる「特定活動」資格を付与して一定の条件の下で1年間の滞在を認めてきていました。今回難民認定された98人は,「定住者」として5年間の在留資格が与えられ,さらに一定の要件を満たせば永住申請の道が開かれます。

 

★以前当事務所ブログにおいて,ウクライナからの避難民について,アフガニスタンやミャンマーの人々についてもウクライナからの避難民と同様の待遇で処遇すべきである旨述べてきました。アフガニスタンの人々については一歩前進したようにも思えますが,NGOの現地スタッフなどについても日本大使館の現地職員のような待遇で処遇すべきであると思いますし,軍事クーデターのために命を狙われるミャンマーの人々について同様に処遇すべきであると考えます。現在の日本の難民認定は,「難民鎖国」とよばれる状況であり,毎年1万人以上難民認定をしている欧米よりもはるかに少ない数です。以前も述べましたが,今後日本の労働人口は減り始め、現在の日本の生活レベルを維持するするためには外国人に優しい国にならなければなりませんし,人道的な側面からみても,日本の難民認定数は少なすぎます。政府はより積極的な難民認定をすべきと考えます。

 

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