画面には、サウナの看板。
行動調査をする場合、調査開始場所の撮影から始めるのが基本である。
自分が置かれた状況を知らず、トクモリ君は律儀に基本撮影をしている。
場面は、更衣室に。
ジャニーズ系の少年2人が、お互いの手にハンドクリームを塗りあっている。
談笑しながら、時折、恍惚の表情を見せる美少年達。
画像には一切のブレは無く、トクモリ君が集中している様子が手に取るように分かる。
50歳位のサラリーマンと思われるおっさんが映し出される。
どこにでもいる普通のおっさんが、カメラ前で丁寧に服を脱いでいく。
最後の一枚は、赤いレースのビキニパンツだった。
別のおっさんがカメラ目線になり、トクモリ君に近づいて来た。
画面から、トクモリ君の動揺が見える。
ここで一旦画像が途切れる。
「ね~凄いでしょ!(笑)」
確かに、この状況下でこれだけの撮影が出来たことは驚愕に値する。
とても、へなちょこトクモリ君の撮影とは思えない 。
再びサウナ内の映像へ。
どうやら仮眠室のようだ。
普通のサウナの仮眠室は、リクライニングソファーが並んでいる。
だが、そこの仮眠室は雑魚寝らしく、部屋一面に男衆が横たわっていた。
明かりが暗い為、何をしているかまでは分からない。
俺は、テレビで見たセイウチの集団活動を連想した。
よく見ると、所々に固まりが見える。
「ね~何なのこれ?」
「1人の男が数人の男に襲われてるんです」
えっ・・( ̄□ ̄;)
恐ろしい事を、さらっと言うトクモリ君。
「若者グループとか筋肉質グループとかあって、自然と固まりが出来るらしいっす」
ひえ~~(;°皿°)
この異質な空間で、これだけのものを撮影出来るとは!
普段のビビりトクモリ君とは思えない。
というか、何でそんな事知ってんだ・・・。
「ぎゃはっはっは~~」
後藤さんは大うけである。
画面が変わり、中年男のドアップが映し出される。
良く見ると外を歩いているらしく、すでに朝のようだった。
松崎シゲルに似た浅黒い中年男は、満面の笑みを浮かべながら誰かと話をしている。
「こ、これは?」
「一緒に新宿駅まで行ったっす」
「だ、誰?」
「サ、サウナで知り合った人っす」
!∑(゚Д゚)
2丁目のサウナから新宿駅まで、トクモリ君と松崎シゲル似の男は、一緒に並んで帰ったらしい。
カバンに仕込んだカメラからの撮影らしいが、松崎シゲルは全く気付いていない。
あまりに至近距離の為、シゲルの声まで録音されていた。
後藤さんは狂ったように笑っている。
「うひゃひゃっ~!お、お前、シゲルとヤったのか~!(笑)」
「ヤ、ヤってないっすよ!た、ただ・・・」
「ただ、何だよ!」
「クチでされました・・・。」
「うひゃひゃひゃひゃ~(爆)」
後藤さんは笑い死に寸前だ。
画面のシゲルが別れ際に叫ぶ。
「またな!」
「あひ~~~っ(大爆)」
後藤さんは爆死した。
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後日、トクモリ君は、ホモサウナの調査報告書を作らされた。
その報告書は、○ルの上層部にたらい回しにされることとなる。
哀れな新人探偵の噂と共に、「後藤さん鬼畜伝説」に拍車がかかった。
この事件で脚光を浴びたトクモリ君だったが、しばらくすると元のヘナチョコに戻っていった。
ホモサウナでの撮影技術は嘘だったかのように、失尾と迷子を繰り返した。
そして、事件から1ヵ月後、本来の調査業務に何一つ成果を残さないまま、トクモリ君は田舎に帰っていった。
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「いや~おしい奴を失ったね~」
「はぁ」
業務上では、全くおしい人材ではなかったトクモリ君。
だが、後藤さんにしてみれば、玩具を無くしたような感覚だったに違いない。
俺は正直、お荷物がいなくなってホッとしていた。
使えない奴と組むくらいなら、1人で調査してたほうが良かったからだ。
昔は、今よりも仕事にドライだったのである。
数か月後、新たなスタッフが配属される。
トクモリ君とはタイプは違うが、これもまた使えない奴だった。
「お前に勅命を与える」
そいつもホモサウナに潜入させられる。
だが、そいつはビデオ撮影が見つかってしまい、とても記事に書けない体験を強いられる。
その結果、トクモリ君とは違い、本当にもう一人の自分に目覚めてしまう事となるのだが・・・・
それはまた、別の話。
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