【追記】

みなみさんの句に感想を付すのを漏れてしまい申し訳ございません。

再度、掲載し直します。

 

感想・・・続けさせて頂きます。

 

17.梅雨晴のひかりの粒や貨物船    ひょうたん機

季語「梅雨晴」なので雨上がりの日のことでしょう。海に浮かぶ貨物船を光の粒子の乱反射の中に見つけた・・・という仕立てと思いました。「梅雨晴」らしさ、句の明るさが引き立っていました。雲落ちる温泉街や心太 こちらの句は、逆にしっとりとした温泉街を描かれていました。私が違和感を感じたのは、「雲落ちる」という表現です。「雲下りる(降りる)」なんじゃないかしら・・・もしくは「雲低き」とした方がハッキリと景が伝わると思うのですが、いかがでしょうか?

 

22.早寝よと子を川の字の団扇哉      あき坊

掲句、文語体に徹して詠まれた一句でした。自分も子供の頃、叔母の出産を控えての日、従兄弟たちが泊まりに来たときに言われた記憶があります。自分は無理に文語の硬い漢字表現にこだわる必要ないのでは(特に子供が句中に出て来ますし)・・・と思ったのですが、作者の思惑はどうだったのでしょう?あと、中七の「の」もちょっと引っかかりました。早よ寝よと子を川の字に団扇かな いかがでしょうか? 花魁の素足に江戸のときめける こちらも古風仕立ての一句でした。「花魁」が出てくる辺りで『吉原炎上』とか時代映画を観ての・・・なんだろうなぁ・・・というのが否めませんでした。こういう冒険や実験、大いに結構と思いますが(自分もよくやりますので)選が入るか否かは・・・あまり当てになさらず・・・。

 

34.水中花舌に溶けゆくチョコレート  日記

こちらも高点句でした。「今を点で詠む」という課題にきちんと取り組まれた一句でした。季語「水中花」から連想するに、高級ホテルのラウンジでゴディヴァでも頂いたのかなぁ・・・と羨ましく想像させて頂きました。緑や河馬の親子の水しぶき

「万緑」の動物園、河馬の親子・・・というのがまたいいですね!巨体の母河馬に倣って水に入る子河馬・・・その勢いに圧倒される観客・・・。そんなところが目に浮かびました。
 

39.梅漬けり砂糖のかたと溶けはじめ  緑茶

掲句、「梅漬ける」が季語ですが、『歳時記』を見ると、梅干しを漬ける・・・の意の方が強いようでしたが、「砂糖」が出て来たところで「梅酒」だと伝わりました。氷砂糖を瓶に敷いて、梅の実を入れて、焼酎を入れる頃には砂糖がかたっと溶け始める・・・その一瞬を切り取られました。一周忌最中の包み夏衣 こちらの句も内容的には悪くないと思いましたが、「一周忌/最中の包み/夏衣」とすべて名詞で切れてしまっておりました。もしかしたら、下五を「沙を纏う」「絽を纏う」などとすると法事かなにかの一景として収まったように思いました。彩雲に染まりし空や風薫る こちらも
作者の感性が表れていました。「雲」「空」という景に季語が「風」なので、季語は手元のもっと可視化の強いものを持ってこられると良かったように思います。例えば、「額の花」とか「水を打つ」とか・・・。それでも、初心者上達している上達している姿に関心してます。
 
41.夏雲や乗り継ぐたびに迫る山    静可愛
掲句、「乗り継ぐたびに迫る山」に臨場感がしっかり溢れていて、さすがさすが・・・と思える一句でした。コメントで粋子さんが、『「たびに」のところ、気になりました。「ごとに」の方が、より季語との調和が取れて迫り来るように思われました』。
と記されておりましたが、自分もそんな気がしました。ここは好みの問題もあるかもしれませんが・・・。窓に吊る風鈴二個の小釘かな こういう生活の実景って素敵だと思います。特別しゃれるわけでもなく、素な感じがいいと思いました。
 
44.紫陽花や妻で姑かつ娘         百々世草
掲句、3世代に渡っての実感のこもった一句と思いました。「紫陽花」の季語がいいですね。別名「七変化」ですから・・・それぞれの立場になってそれぞれの采配をする・・・キビキビと忠実に動かれるご婦人と思いましたし、実際にそうなんだと思います。佳句と自分は読んだ瞬間、選を入れさせていただきましたが、参加作品に埋もれてしまったのが残念でした。万緑や首座る子の小あくび 「万緑」の季語でまず思い出されるのが、
 万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男
ですが、「万緑」という季語は、新たな生命との取り合わせがいいなぁと改めて思いました。
 
45.四万十の川舟眺む夏野かな       みなみ
四万十川と言えば、沈下橋で有名ですが、その沈下橋の辺りの河原・・・確かに夏草が茂っています。遊覧船も運航しているんですね。乗ったことはありませんが・・・。掲句の場合、「川舟」ですから、地元の方の釣舟くらいでしょう。夏の最高気温の高い土地でもありますから、川遊びしたい気持ちが作者の中にも生まれたことでしょう。新緑に染まる木曽路や滝ひとつ 掲句、「新緑」と「滝」と季重なりになっていますが、
メインの季語は、もちろん「新緑」で、そこにアクセントのように「滝」の流れを見つけた・・・という解釈になると思いました。*感想、遅れて「追記」になり失礼致しました。
 
46.青空へささぐ純情立葵       いわきり秋月
秋月さん、初参加ありがとうございました。青空に真っ直ぐ伸びる「立葵」が気持ちの良い句でした。粋子さんも「特選」にされてましたね。ごく個人的に思ったのですが、「純情」より「純粋」の方がスッキリするように思ったのですが・・・これは好みの問題かもしれません。大昼寝丸太ん棒のやうな父 漢字席代も上手にこなされたなぁと思いました。一家の大黒柱は、昼寝もこうあって欲しいものです。四葩まふシヤツターチヤンス待ちゐたり 掲句はちょっと難あり・・・と思いましたので記させて頂きます。「四葩」つまり「紫陽花」は舞うことなく枯れていく花です。この辺は梅とか桜とかと違う点です。もし、「舞う」としたら、それこそ大暴風で紫陽花が根元からゆっさゆっさ揺れなければ起きないことと思いました。
 
以上、勝手なことを記させて頂きましたが、ご自身の句に客観性を持たせるという意味でも句座を囲むのって大事だと思いますので、悪しからず容赦ください。