感想続けます。

 

30.いつのまに着替へし母の春着かな   ハイジ

掲句、お正月の訪問客を迎える準備をしていたかと思ったら、お母様「春着」にちゃちゃっと着替えてのお出迎え用意。それを観ている子供目線というのも面白く感じました。その昔、自分もまだ20才の頃だったか・・・知り合いの娘さん(小学校に上がる前でした)が、お母様に『女は弱し、されど母は強し』なんて言っているのを聴いてびっくりしましたが・・・母親というのは偉大です。風切って成人式に背を向けた こちらの句に「・・・」を付したのは、口語的表現が紋切り型のように感じたからでした。ちょっとしたツッパリ感を出したかったんでしょうか? 風を切り成人式に背を向けり が俳句的表現だと思いました。自分も成人式に行かなかった派ですが・・・後で友人からなんで来なかったのか尋ねられたときは、リムジンとレッドカーペットと紋付き袴が間に合わなかったからだとうそぶいておりました。

 

31.つぶ貝のきゅつと締まれるおでんかな  あき坊

作者の今回の連作の順と、こちらが恋の句・・・との解説を読んだときは、ははぁ・・・と思いました。自分は素直に「おでん」に「つぶ貝」を入れたら出汁もうまく歯ごたえもいいんだろうなぁ・・・と思っておりましたが、・・・エロスですねぇ。。。八の字の女めでたき寝正月 そう考えると、こちらも「八」はアラビア数字の「8」で読まないと・・・ってことですね? 最近、旧twitter・・・“X”の中で、レースクイーンの女性の写真に「いいね」を押したら、まぁ、次から次へとそんなツィートが入って来るワ・・・来るワ・・・いささかウンザリしてます。

 

34.まんさくを咲かせ医院の小窓かな    笑い仮面

掲句、点は入ってませんでしたが、「まんさく」が効いていると思いました。作者は、昭和から続く老いた町医者の医院の小窓から、この「まんさく」を観ている・・・そんな様子が浮かびました。静かな景ですが、しっかりとした句と思いました。石橋をわたる心地の針供養 「石橋をわたる心地」というのと「針供養」・・・針の山に気をつけて・・・だと安直かなぁ。。。

 

36.これもって欠礼と師の賀状かな    百々世草

老いた師からの年賀状・・・来年からはもう来ない一抹の寂しさと、無理をなさらず・・・という恩師への思いとが一句に込められていて佳句でした。雪霏霏と柩の叔母の泪かな 作者が北海道の方ですから「雪霏霏」という表現の質感を感じました。能登半島地震でも家族を亡くされた方にとって・・・繋がる思いを感じました。

 

38.満天星の火を灯すごと冬芽かな    みなみ

「満天星」の赤い「冬芽」が火を灯すように鮮やか・・・という写生句でした。身近なところの素直な景でしたね。刻印のある石垣や冬の草 掲句、「刻印のある石垣」ですから、お城のどこの一角を○○家が承った・・・という印ですね。「冬の草」がちょっと安直な気がしました。「冬菫」とか、何かしら具体的な草の名を配されたらいかがでしょうか?

 

39.山の端の煌々として初日かな     おみそ

山登りを愛好されるおみそさん、こんな景を幾度も観てこられたんでしょうね。清々しい句でした。力石撫でて蘊蓄松納 「力石」・・・力比べのために持ち上げる石ですね。大学教授で「力石」について研究をされておられる高島様から何処の「力石」か教えて下さいとのこと。返信コメント頂ければ助かります。

 

以上。

 

今回もいろんな景を観させて頂き有難うございました。

本年も・・・いろいろあるかとは思いますが、どうぞよろしくお願い致します。