11月21日は、俳人石田波郷の忌日である。

「忍冬忌(にんとうき)」、「風鶴忌(ふうかくき)」、「惜命忌(しゃくみょうき)」とも言う。

「風鶴忌」は、代表句


吹きおこる秋風鶴をあゆましむ


に由来する。

「惜命忌」は句集『惜命』から取られたものだろう。


かりがね

雁や残るものみな美しき




大正2年3月、愛媛は松山に生れた。本名は哲大(てつお)。松山中学卒業後、上京して『馬酔木(あしび)』入会。以後、水原秋櫻子の知遇を得、『馬酔木』の編集に携わった。戦時中一時『馬酔木』を離れたが、戦後復帰し『現代俳句』を創刊、この頃より胸部疾患に倒れて清瀬療養所に入所、三度にわたる大手術を受けた。療養生活を続けつつ読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞、昭和28年『鶴』を復刊し、俳壇の第一線で活躍。昭和44年没。墓は東京深大寺にある。


               れいろう

波郷忌や富士玲瓏の道行きて  水原秋櫻子


群青の空あたゝかに波郷の忌   石塚友二


                      かん

波郷忌や波郷好みの燗つけて  鈴木真砂女


波郷忌の高雲に目を放ちけり   飯島晴子


湯上りの裸けむりて波郷忌ぞ   藤田湘子



それぞれの思いが波郷へと向かう。



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