相模湖駅から車に乗り合わせて正覚寺に向かった。寺に着く頃には、雨もすっかり上がって心地よい風が吹いていた。正覚寺は「滝つつじ」と「俳句寺」として名高いところであるが、ツツジの方は既に終わっており、雨の雫のまだ残る若葉が瑞々しかった。
上の写真中央のツツジが季節になると白い花をつけ、滝の流れのように上から下まで咲き乱れるそうだ。
―来年は、ちゃんとした時期に観に来たいですね。
―あそこもここも…行く場所が増えちゃうわね。
吟行で歩きたい場所があちこちにあるというのは、実際ありがたいことだ。吟行先でまず優先されるのが句会場である。借りられる施設が近くにあれば、あとはその季節の花なり景色なり自然を楽しめばいいからだ。
正覚寺は、その境内に登る道からずっと句碑が続いている。裕子さんが師事した先生の句碑を探していた。瀧春一先生の句碑…。先生は、俳句雑誌「暖流」を主宰しておられたが、亡くなると同時に俳句誌も廃刊となった。
初蝶やいのち溢れて落ちつかず 瀧 春一
爽やかであり、いのちにみなぎる力を感じる句だ。
もうひとつ、見て来て…と言われた句碑があり、探しているとすぐに見つかった。
はからずも一会賜はる草の花 黒瀬貞子
俳句寺にふさわしい句だ。
皆、思い思いに句碑の前で一句を鑑賞して時を過ごした。
その先に鐘楼へと登る石段がある。
―登ってみますか?
―足を滑らせたら危ないかも…。
―それでも登ってみると、何か別の世界が広がるかもしれませんよ。
そう言って、まずは自分が先を歩いた。
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