さいころ

賽子をふれば一の目終戦日  しのぶ


昭和20年の今日、戦争が終わった。ともすると報道を通して、今日が終戦日だったのだと思い知るくらいだ。
私たちは終戦日の落胆や悲しみ、空虚感というものを直接は知らない。ただ、その日を境に復興が始まり、現在の繁栄にまで至ったということを知っているだけだ。そして、今日の繁栄は戦争で亡くなった数十万人の犠牲の上に成り立っているという風化された現実を目にしている。あと数十年もすれば、戦争を体験した人たちの声も掻き消されてしまうのかもしれない。寂寞感がふっと身を過ぎった。


今年は隣国、中国、北京オリンピックでのスポーツの闘いの勝ち負けを毎日目にしている。努力の結晶の汗と涙と感動の闘い―こういう闘いは爽やかでよい。


さて、掲句、サイコロと終戦日というのは、何の繋がりもいわれもない。強いて言えば、勝負に関係しているというだけのことだ。そのサイコロを振ってみたら一の目が出た。日の丸だ。あぁ、そうか今日は終戦日か?と思い出したというだけのことだ。


だが、やはり終戦日、覚えておきたい一日だと思う。戦争に負けたから今の日本がある。多くの尊い犠牲が払われたから、今の私たちの暮らしがある。そんなことを語り継ぎたい一日だと思った。




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