和太鼓の音に惹かれて公園の中央へ行ってみると、露天の花屋をはじめ数々の露店が店を開いていた。
その先に和太鼓を叩くグループと、その拍子と音楽に合わせて踊りを舞う舞台があった。
「ちょっと写真を撮って来ます」。
そう言って、写真だけ撮って戻ってみると、「楓…」の集団を見失ってしまった。
露店辺りをぶらぶらしていると、やはり先頭集団からはぐれた翠さん、なほさん、富四郎さんと出会い、とりあえず甘酒でも飲みますか?ということになった。
甘酒というと、冬に飲むことが多いが、実は夏の季語である。…自分も勉強不足で最近知った事実。
昔は盛夏に暑気払いとして飲んだのだという。
以前に、甘酒は冬の季語ですか?という問いに正しくお答え出来なかったこと、この場をお借りしてお詫び申し上げたい。
さて、一服し終えると先に周遊していたグループと再会し、汀女の句碑と「飛梅」を探してまた歩き出した。
ありました。ありました。立派な句碑が…。
と
外にも出よ
ふるるばかりに
春の月 中村汀女
春の、少し暖かくなったころのおぼろ月…きっと丘の上に登ったら触れられるほど…と感じ、作者は外に出てみよう!と自分に言う。
この句を詠んだ暖かく穏やかな夜は、もう少し先のことだろう。
続いての探索は「飛梅」。
時は平安時代、菅原道真公が大宰府に左遷され、京の都を発つとき、日ごろ大切にしていた梅に向かって
こちふかば
にほひおこせよ 梅のはな
あるじなしとて 春なわすれそ
と詠うと、梅は主を慕って太宰府まで飛び、根付いたと言われる伝説の梅だ。その分身が、ここ梅が丘に大宰府天満宮から寄贈されている。
これで梅見の目的は達成。少し自由に散策をしましょうと、それぞれにまた分散して行った。
ときに霜柱が解けて出来た春の泥を踏みつつ、思い思いに歩き出した。
「アンケートに答えるとプレゼントがあります」。
「えっ、プレゼント!?」
そんな声に惹かれていく組…歩き疲れたから何処かで腰かけようという組…
それぞれの道へと進んだのだった。
つづく
*次号では、先人の吟行句と、それがどのようにひとつの句に成り立っていくかをご説明したいと思います。
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