黛人句集


    たいじん


先日、黛人さんのご遺族から句集が上梓されたとのご連絡と同時に写真の句集が届いた。


黛人翁は、悠人の俳号の名づけ親になってくださった御仁だ。名前の「黛」は大きいことを表すが、文字通りのっぽの人だった。だが、ただののっぽさんではない。人間としても大きな方だった。野村総合研究所の役員を経て、野村コンピュータシステムの社長・会長を長く勤められた方だ。


それでも、そんな姿はつゆも見せず、いつも飄々と吟行会に現れた。


黛人翁は日本語にはいつも厳しかった。出来上がった俳句の披講の際、言葉づかいが間違っていると必ず指摘して下さった。




ご自身、次の句を詠まれている。




             と     ひとりむし


生涯を活字の徒たり火取虫





十二月の吟行会では、黛人翁の墓参を兼ねて戸塚へ行く。


墓のある霊園の展望台からは、天気がよければ富士山も見える。


故人を偲び、故人の愛した「言葉・日本語」を拾いに行こうと思う。




くるみ ひろ


胡桃拾ふひいふうみいよ五つかな




ひだまり  おちばだまり       しば


日溜の落葉溜にいま暫し






眼つむればわが血の色や日向ぼこ





この場をお借りしてご遺族、句集の編纂にご尽力下さった皆さまに感謝を表し、立派な句集が出来上がったことをお慶び申し上げたい。






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