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イラショナル・ビリーフと対人不安との関係についての研究に目を向けると、Leary(1990)は対人不安に関する認知的アプローチを、否定的な自己評価、盲信:不合理な思い込み、過度に高い基準、の3つに分類している。
 
否定的な自己評価とは、重要な対人場面において自分自身を好ましくないと評価した時に対人的な不安を感じるというものである。
 
過度に高い基準とは、自分の対人的な振る舞いや成果に対してあまりにも高すぎる評価基準を持っており、そのために、いつまでたっても目標を達成することが出来ずに苦悩を味わい、対人不安がもたらされる場合を示す。
 
そして、もう一つの盲信:不合理な思い込みがEllis の言うイラショナル・ビリーフに相当すると考えられる。つまり「他人から好かれることこそ大切であり、それが少しでも欠けると人間として失格であり無価値である」というイラショナル・ビリーフが対人不安を助長していると想定される。この観点に立つと、誰からも認められることを望みすぎる人は、自分が望むほどには十分に認められることは決してないために、他人と関わっている時にはいつも不安感や対人不安感を感じていることになるのである(Leary,1990)。
 
 
本研究では、論理療法におけるABC 理論の枠組みからイラショナル・ビリーフと対人不安との関連を検討することを目的とした。イラショナル・ビリーフを独立変数、対人不安を従属変数とした分散分析の結果、<自己期待>、<問題回避>、<内的無力感>、<依存>、<外的無力感>に関するイラショナル・ビリーフが高い学生の方が低い学生に比べて、対人不安が高いことが明らかとなった。この結果は、ABC 理論の枠組みから捉えると、イラショナル・ビリーフが対人不安に影響を与えており、対人不安を論理療法のABC 理論から説明することの有効性を示唆するものである。つまり、イラショナル・ビリーフが対人不安と関連することが明らかとなったことで、対人不安に対するアプローチとして、イラショナル・ビリーフの変容に焦点を当てることが、対人不安の症状の軽減につながる可能性が示唆された。
 
 
<自己期待>に関するイラショナル・ビリーフは自分の行為や能力に対する高い期待であり、このイラショナル・ビリーフが高い学生は、低い学生に比べて「自分や他人が気になる」、「目が気になる」、「生きることに疲れている」悩みが高いことが認められた。このイラショナル・ビリーフを強く持つと自己への期待が高くなるため、その期待に対する達成度や他者からの評価に敏感になると考えられる。さらにその評価や期待に答えなければならないと考えるために、自分や他人が気になったり、視線が気になるという悩みが強くなると解釈することができる。

<問題回避>に関するイラショナル・ビリーフは、責任や面倒な事柄からの回避の必要性に関するものであり、このイラショナル・ビリーフが高い学生は、低い学生に比べて「集団に溶け込めない」、「社会的場面で当惑する」悩みといった、集団や社会的な場面での悩みが高いことが認められた。集団や社会的な場面では物事に対する責任や対人関係での問題が多く生じることが予想され、そのために、集団場面を避けようとしたり、集団の中にいても不安が生じると考えられる。

<内的無力感>情緒に関する無力感をあらわし、憂うつ、怒り、悲しみ、動揺といった感情のコントロールに関する無力感の正当性に関するイラショナル・ビリーフであり、このビリーフを強くもつ学生は「自分が統制できない」、「生きることに疲れている」悩みが高いことが認められた。

<内的無力感>に関するイラショナル・ビリーフが高い学生は、自らの情緒や感情をコントロールできないのは当然であり不可能であると考えるために、現実に感情や情緒が生じる場面や、そのような場面を予測した際に、不安が不満を感じると解釈することができる。

<依存>は友人や両親、目上の人に対する依存の必要性に関するイラショナル・ビリーフであり、このビリーフを強く持つ学生は「自分や他人が気になる」、「社会的場面で当惑する」、「目が気になる」、「自分が統制できない」、「生きることに疲れている」悩みが高いことが認められた。<依存>に関するイラショナル・ビリーフが高くなると、他者に頼らなければ自分は何もすることができない、という否定的な評価につながり、社会的な場面や対人場面において不安を感じると解釈することができる。

<外的無力感>は外部の影響に関する無気力をあらわし、他人や社会、過去の出来事や災害に関するコントロール不可能感の正当性に関するイラショナル・ビリーフである。このビリーフを強く持つ学生は、そうでない学生に比べて、すべての対人不安が高かった。<外的無力感>に関するイラショナル・ビリーフが強いと他者や社会などの外部の影響に対して自分は無力であると考えためにそれが自己への否定的な評価へとつながり、対人場面や社会場面において不安が生じると考えられる。

また、二次的に誘発される悩みである「生きることに疲れている」悩みは、他の悩みと関連が見られたイラショナル・ビリーフすべてにおいて関連が認められた。この結果は、「生きることに疲れている」悩みが、他の対人不安の悩みから2次的に誘発される悩みであるという松村(1991)の指摘を支持するものである。つまり、<自己期待>、<問題回避>、<内的無力感>、<依存>、<外的無力感>に関するイラショナル・ビリーフが「生きることに疲れる」悩み以外の1次的な悩みを引き起こし、その悩みがさらに「生きることに疲れる」悩みを引き起こすと解釈することができる。
 

 

 
ハリネズミミラーブログ(はてな)
ハリネズミ社会不安障害の認知行動療法の参考書

 

内気と不安を軽くする練習帳 (原書名:Overcoming shyness and social phobia)

社交不安の認知行動療法について、非常に丁寧に書かれている本。

「練習帳」の名の通り、社会不安を克服するためには地道なトレーニングが必要ですが、ひとつひとつ章立てて書かれているので、段階的にステップを登っていけます。自分の思考や行動を記録していくやり方の説明も明確でわかりやすく、具体的・実用的で、読むと励まされる本です。
 
 

社交不安障害 理解と改善のためのプログラム (幻冬舎新書)

人前で話すのが苦手、緊張して上がってしまう、自然に人付き合いができず、社交をつい避けてしまうという状態は「社交不安障害」と呼ばれる。もっとも頻度の高い精神的な困りごとの一つで、有病率は一割を超える。しかし、自分を縛る不安の正体を知って、有効なトレーニングを積めば、改善は十分可能だ。実際にカウンセリングセンターで使われるプログラムを紹介しながら、克服の方法を実践解説。

 

対人関係療法でなおす 社交不安障害 自分の中の「社会恐怖」とどう向き合うか

 

 

図解 やさしくわかる社会不安障害

具体的な治療法、不安にとらわれるメカニズムの解説などを解説した、SAD治療の入門書的な本。

わたしは数年前にこの本を読んだことがきっかけで治療につながれました。

 

 

 

ではではクマムシくん