骨髄バンクドナー体験記「提供しちゃいました(仮)。」
≪Vol.3 SHAKE IT : 確認検査へ行きました≫
確認検査の2日前だったか、コーディネーターのSさんから連絡がありました。この頃はまだ、職場に連絡をしてもらうようにお願いしていて、平日は定時の1時間くらい前になると私宛に電話が来ていました。だって、携帯電話の着信に全く気付かないことが多いもので・・・。
しかし、この時点で骨髄バンクのドナーコーディネート中であることは、職場には一切話しておりません。それどころか、登録していることすらも。電話をする時も「骨髄バンクと名乗らずに」とお願いしていました。しかし、これが想定外に大変なことに~!(´Д`;)
連絡のあった期日で大丈夫か、とのお伺いです。今後もそうですが、検査や面談など何かしらある日の前日には「明日大丈夫ですか?」と、そして当日終了した後は、「本日はご足労いただきありがとうございました」と、必ずSさんは連絡を入れて下さいました。Sさんが同行する場合も、しない場合も同様です。
心情にかわりはないか、とか、体調が優れなかったり都合が悪くなったりしていないか、常に気にかけてくれます。骨髄提供は、あくまで自由意志、自発的意思に基づくものであり、ちょっとでもドナー(候補者)に変化があるのなら、それを放ってコーディネートを進める訳にはいかないのです。・・・まぁ、当の本人は何とも思っておらず、ちゃっちゃと進めて~とまだまだノンキですが。
そして迎えた確認検査当日。
この日は希望日のひとつでしたが、夜勤前でもなければ夜勤明けでもなく、終日お休みの日・・・(;^_^A 言い方は悪いですが、結局休日に勤務先へ出向く事になります。
ま、でも体のコンディション的には一番適した日でした。前日もお休みだったので、休養はしっかり取れているハズですから。
といっても、せっかくの平日休み。確認検査は午後なので、午前中は朝イチで美容院へ行き縮毛矯正(ストレートパーマ)。そして、ちょうどランチタイムだけど、これから採血があるので食事はちょっとガマン。空いた時間はなんとなくブラブラしつつ、勤務先へ向かいました。
集合場所として指定されたのは、先生の診療科がある外来診察室。確認検査の案内が来たとき、通常は施設の交通案内や建物内の見取り図なんかが同封されたり、正面玄関で待ち合わせるみたいですが、そこは勝手知ったる自分の勤務先。案内は同封されておらず、直接診察室で待ち合わせることになりました。
エスカレーターか何かで建物を上がり、診察室のある方向へ向かうと、入口前にひとりの女性が立っていました。A4封筒を持っています。他には誰もいません。当然初対面なので、目印として「封筒を持っていますので」とおっしゃっていました。いよいよSさんとのご対面です。
「はじめまして~。よろしくお願いします。」
お互いに自己紹介してあいさつし、中の待合室に入りました。受付で、骨髄バンクのドナーが来たことをSさんが伝えてくれます。先生が来るまでソファに座っていたのですが、この時にSさんから思いがけない一言が。
「あの~、以前○○病院にいらっしゃいませんでしたか?お会いしたかと思うのですが・・・」と。
何ですと???
確かに、現在の職場に来る前は○○病院にいました。そしてその状況を聞き、これも確かにそんなことがあったなぁ、と覚えていました。勤務中、診察に来られたドナーさんに同行していたコーディネーターの方がいて、内容は覚えていないけれど、そういえばお話したかも・・・。
それが、何を隠そうSさんでした。
「ドナーからすると患者は身内だけど、提供するのに大変じゃない人はいないと思う。」 どうも、そんなことを言ったみたいなのです。私ったら、随分エラそうな事を。
血縁でも非血縁でも、事前に数回病院に出向き、数日入院して大がかりな処置を受けます。「身内(患者)の事を考えたら、これくらい」と、何も苦に思わないと言う血縁ドナーさんもいましたが、身体に負担がかかっているのは事実。そんなことを率直に話したのでしょう。
初対面ではなかった、Sさんとはあっという間に打ち解けました。何せ、前職場にも多く出入りしているSさん。職員(主に医師)も多くご存じで、話がよく盛り上がったものです。
少し経って、調整医師の先生が来られ、面談室に案内されました。やはり何だか照れくさい(・・。)ゞ。
ここではまずSさんが、適合通知に同封されていた冊子に沿って、骨髄提供の手順を細かく説明します。ただ、私が職業上知っている医学的知識については説明が省略されました。そして、先生は骨髄採取などの処置やこれまで起こった合併症などについて、医療行為に関わる部分を説明して頂きました。
前回コーディネート時とほぼ同じ流れです。一連の説明は省略が多かったのもあり、30分もかからなかったでしょうか。こちらからの質問があればそれにこたえて頂いて。すると、次にSさんは一旦退室しました。今度は先生とマンツーで、アンケート(問診票)に沿って話がすすみます。ドナー(私)の医学的情報なんかについては、コーディネーターが知る必要のない場面らしく、立ち会わない様にしているみたいです。
再度Sさんが入室され、その上で確認検査(採血)を受けても良いかの意思確認がされます。もちろん、ここで断る理由は一切ありません。
誓約書みたいな書類に署名と捺印をしました。あと、通常はここで交通費の精算があるのですが、通勤定期で来ていることになるので当然ナシ。
そして、いよいよ採血と身体測定です。
処置室で、何本もの採血管に血液が入っていきます。私の血管は若干わかりにくく、慣れない人だと大体失敗されます。それゆえ、採血(注射全般)される事に苦手意識があるのですが、今回は先生が直々になんなく採血をして下さいました。
ここであまりに採血が難儀すると、点滴ルート確保だとか自己血採血時に対応が難しくなると予想され、ヘタすればコーディネートに影響しかねない気が。検査採血自体は問題なかったけれど、自己血採血ではかなり太い針を使用するということで、大分心配でした。また、以前献血に行った際、針を刺してビリビリっとしたことがあったりして・・・。麻酔時など、意識のない時に間違って刺されたらイヤだし。
それについては、マンツーでの面談時にも話が出たので(実は先生も知っていた)、先生に確認して頂いて「この辺なら大丈夫そう」という診察結果と、ビリビリっとした既往がある箇所については刺さない様、骨髄バンクへの報告書に添えてくれる事になりました。最後に、身長と体重を測定して、今日の確認検査は終了です。
Sさんと診察室を後にし、正面玄関までお見送りいただいて病院を後にしました。この後、速攻で遅い昼ごはんに駆け込んだのは言うまでもなく。
そして夜、Sさんから携帯電話に連絡がありました。今日の検査結果が出たらまた連絡します、との事。大体一週間くらいはかかるようです。その間も、何かあったら遠慮なくおっしゃってください、とも。う~ん、やっぱり優しすぎる、こちらが申し訳なく思うくらい。
携帯電話へ連絡があった場合、私が気付かずに出られないと、留守番電話にメッセージを残してくれるのですが、それを聞いて折り返し掛け直すと、さらに「一旦切って掛け直しますね」となるのです。これは、こちらに通信費の負担を極力発生させないように、だそうです。さすが、徹底しているなぁ。