骨髄バンクドナー体験記「提供しちゃいました(仮)。」
≪Vol.6 あふれでる感情 : 正式に≫
確認検査結果が届いてから一週間。新しい年を迎えました。
年末年始。大掃除を済ませて実家に帰りつつ、年越しは友人の家でダラダラと迎えました。高校の同期なので、揃って初詣で厄払い。ひそかに「ドナーに選ばれるといいなぁ」と軽く願った新年早々。
その後は、実家で上げ膳据え膳のグウタラと堕落した日々( ̄Д ̄;; 箱根駅伝の中継を見て「柏原スゲーーーーヾ(@°▽°@)ノとわめきちらしたり。
一応、この時に骨髄バンクでドナー候補になった事は伝えたけど、選ばれるかわからんし、それがいつになるのかもまだまだ…という時だったので、母も「まぁいいんじゃない」って感じで、軽く受け止めていたのですが。
そんな正月休みも明け、仕事が始まってすぐの事。
帰宅すると、骨髄バンクから一通の封書が届いていました。「何だろう?」と玄関へ向かいながら開封するのですが、一体何のお知らせなのか…当時は全く見当がつきませんでした。6年前の初回コーディネートが確認検査結果通知とともに終わってしまったので、ここからの展開は未知の領域です。
A4紙が三つ折りになっていて、内容が透けて見えました。「海外渡航が何たらかんたら~」と書かれてあります。瞬間的にピンと来たのが、「まだ結果は出てないけど『今は海外渡航ご遠慮くださいね』っていう念押し的なお知らせをわざわざ送ってきたんだぁ。」という、今思えばそんなバカな、と思われるのんきな発想。これが、数秒後に180度覆ります。
ちょうど玄関前に到着して、三つ折りを開いて面に返した瞬間。さっき透けて見えたものとは全く違う表題が目に飛び込んできて、凍りつきました。
『ドナー選定のおしらせ』
ビックリです。結果が出てからまだ一週間、早ければ…なんてSさんは言っていたけど。年末年始を挟んでいたせいもあり、こんなに早く選定結果が出るとは、これっぽっちも思って居ませんでした。
急いで玄関の鍵を開けて家に飛び込み、座り込んで読み返しました。
続けて、このように書かれていました。
拝啓
時下、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
骨髄バンク事業にご協力いただきまして、誠にありがとうございます。
さて、このたび貴方様は最終的なドナー候補者に選ばれました。
つきましては、骨髄提供についての最終的なご説明と、ご意思確認のため、ご家族(配偶者、両親など)とともに、面談の場を設けさせていただきたいと存じます。
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現時点での患者さんの骨髄移植希望時期(今後変更することもあります)
2012年 3月〇旬
(途中省略、書いた文面は伏字以外原文ママ)
そして、実は手紙は2枚重ねになっており、透けていたのは2枚目。
「海外渡航についてのお願い」と書かれており、選定されたドナー候補者に向け、骨髄採取1か月前からの海外渡航は自粛するよう、検討をお願いするものでした。
当たり前ですが、一瞬にして事の重大さを実感しました。と同時に、選ばれたという感動からなのか、または緊張や恐怖からなのか…よくわかりませんが、ひとり泣いてしまいました。涙が溢れて止まりません。
いよいよ、このときが来てしまった……
私、本当にドナーに選ばれちゃったよ……
コーディネートを受けたからには、「どうせなら選ばれるとイイなぁ」と当然考えていたけれど、その決定が予想外に早かったから、何の心構えも出来ていなかったのもあって。
普段の私なら、「選定まで早くて一週間」て言われれば、一週間後からずっと用心?して待ち構える性格だから、封書が来ようものなら「もしやこれは・・・」と先に勘繰ると思うし、ちょっと前には心の片隅でそんなこともあろうかと想定していたハズなんだけど、その日に限って全く思いつかなかったんですね。
「今は普通じゃない(コーディネート中)」って状態が、どこかで心理的に作用したのかしら。
とにかく、選定されたとなれば、動かなければなりません。
まずは実家の母に電話。つい数日前に会ったばかりです。
話を切り出し、ドナー選定された事、そして近々面談をするので同席してほしい事を伝えました。
やはり、私と同じで早すぎる決定にびっくりしていました。そして、「選ばれちゃったかぁ・・・」って感じの複雑なリアクション。
そりゃそうだよなぁ、最初から決して「ドナー?人様の役に立てるのならドンドンやりなさい」って意向だった訳もなく、「アンタがやりたいならまぁしょうがない」って感じでしたから。
ともかく、最終同意面談は家族に来てもらわないと話にならないので、ここは母の都合を最優先にして日程調整を進めるつもりでしたから、いつ頃がイイとか都合を教えてもらうように頼みました。
しかしこの後、今回のコーディネートで最大の難関が待ち受けていたのです。
こういう事例があるのは知っていたけど、まさか自分の身に降りかかるとは……