不妊症⑩
今日は最終章
着床から妊娠までについてです
着床
受精後3日目に子宮にはいった受精卵は、7日目までは子宮の内側に浮かんでいます。
そして受精後7日目、すなわち月経が始まってから数えると21日目頃には、表面に絨毛という小さな根のような組織ができ、受精卵はどこでもいいから近くのもぐり込めるところに根を張ってもぐり込みます。
ですから、受精後7日目に受精卵が子宮の中にいるということは、非常に重要なことなのです。
もし子宮の入り口から外に出てしまっていたら、受精卵が取り付くところがありませんから妊娠できません。
逆に子宮の中にたどり着くのが遅すぎると、卵管の中に取り付いて子宮外妊娠ということになってしまいます。
ちょうど子宮の中に受精卵がいれば、子宮の内側の子宮内膜は受精卵の到着に備えて厚くなっていますから、受精卵はそこに取り付きます。
一度子宮内膜に取り付いた受精卵は絨毛を生やして、まず子宮内膜の一番表面の細胞を溶かし、受精卵がさらに深くへもぐり込むための準備をします。
さらに絨毛はどんどん子宮内膜の奥に入っていって、お母さんの血管から胎児の発育に必要な栄養や酸素を受け取るようになります。
これを着床といいます。
受精卵は普通、子宮の奥の子宮体部に着床します。
妊娠
この時期の受精卵は、肉眼では見えません。
また次の月経の時期も来ていないことで、妊娠したことに気づかない方もいらっしゃいます。
しかし何日かすると、乳房の張りや軽い吐き気、下腹部が重い感じがするといった妊娠のごく初期のサインが表れるかもしれません。
もし受精卵が着床すると、女性の体は直ちに反応して、その次の月経や排卵が起こるのをストップさせます。
これは絨毛で作られるhCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)というホルモンの働きです。
hCGはお母さんの血中に分泌されますが、このホルモンは卵巣の黄体を刺激して、ここからもっと多量のエストロゲンやプロゲステロンを作るように働きかけます。
エストロゲンやプロゲステロンがたくさんあると、視床下部や脳下垂体に作用してFSHを分泌しないようにしますから、それ以上卵胞が大きくなって排卵することはなくなるわけです。
また着床が起こったときには、黄体から多量のエストロゲンやプロゲステロンが分泌されるので、月経は始まらず、子宮内膜はさらにどんどん分厚くなって、妊娠をサポートできるように変化します。
プロゲステロンは全身の筋肉を柔らかくリラックスさせます。
そしてエストロゲンは乳房を大きくして来るべき授乳に備えます。
よく、妊娠や出産は「奇跡」であるといわれます
妊娠が成立し、無事出産できることの裏には、受精や着床などの「奇跡」が全て起こったのだと考えると、生まれてくる新しい命の存在に心から感謝したくなりますよね
最後になりましたが、これまでお話した内容が、少しでもお役に立てると嬉しいです
- 康祐堂あけぼの漢方鍼灸院