FCC、テレビ放送サービスの参入促す新規則を可決

文:Anne Broache(CNET News.com)
翻訳校正:編集部

2006/12/21 11:16

 ワシントン発--連邦通信委員会(FCC)は米国時間12月20日、複数の委員が反対するなか、電話事業者のテレビ市場参入を容易にする規則を承認した。


 これにより、地方自治体は一定期間内にフランチャイズ契約の申し込みを認可することを課される。またFCCは不当な条件がフランチャイズ契約に盛り込まれないように地方自治体を監視する権限を持つことになる。新規則は民主党の委員2人が強く反対したものの、3対2で可決された。


 FCCのKevin Martin委員長は、「(FCCは)マルチチャネルプログラミングの実現に向け、市場競争が促進されるよう全力を尽くす必要がある」と述べている。同氏はまた、競争を促進し、サービス価格を引き下げるために考えられる方策として最も確実なのは電話事業者の参入を容易にすることだと主張した。


 20日に当地で開催された公聴会では、新しい規則の内容が説明された。それによると、地方自治体は、新規参入を申し込んだ企業を6カ月以内、当該地域の公共設備を既に利用している企業を90日以内に承認しなければならない。また、フランチャイズ料に制限を課し、不公平な放送時間枠を割り当てることや、既存のサービス提供企業には求められていない、特定地域へのサービス提供を命じることを禁止している。


 新規則は、米国の主要電話事業者各社の要求に応じたものとなっている。各社は、テレビ放送サービスに参入する際に地域でのフランチャイズ契約を獲得するために必要な地方自治体との交渉プロセスについて、厄介で時間がかかると、不満を表していた。


 電話事業者各社はFCCの判断を好意的に評価している。Verizonで規制当局への対応を担当するシニアバイスプレジデントSusanne Guyer氏は声明で、FCCは「ケーブル利用料金が急騰していることにうんざりし、サービスプロバイダーや番組の選択肢が広がって欲しいと望む消費者の味方になっている」と述べた。VerizonではFiosテレビ放送サービスの提供に向け、積極的なスケジュールを考えており、FCCの判断はこれを実現するのに役立つと、Guyer氏は加えた。


 FCCの説明によると、この規則は全米で共通の指針を確立することを目指したものだが、すでに施行されている州法に優先するものではないという。米国ではテキサス州とカリフォルニア州を含む14州が、すでにテレビ放送に関わる法律の改正に取り組んでいる。しかし、通信業界はFCCや議会に、より幅広い救済措置を求めてきた。


 この規則に反対したのは 民主党のMichael Copps氏およびJonathan Adelstein氏。両氏は、電話事業者のテレビ放送参入を地方自治体が阻害している十分な証拠はないとし、規則を激しく非難している。


この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ


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 米国では電話会社とCATV事業者が対等に競争しており、電話会社はCATV事業者のトリプルプレイ(電話、放送、インターネット)に苦戦している。

 もともと放送するためのCATVネットワーク(HFC)が電話やインターネットを提供できるようになると、電話会社は電話線でやるしかない。しかし、ADSLでは帯域不足だし、米国は電話局から家庭までの距離が長い。そのため、ベライゾン、at&tはファイバーを引かざるを得ない。だが、多大な投資と時間がかかる。

 そのため電話会社は積極的にロビー活動をし、その成果がこのようなさらなる競争状況を生んだのだろう。この規則はCATV会社へインパクトを与え、彼らは携帯電話会社(固定を持っていない)と提携し、さらなる競争を生むだろう。。。




 日本はどうかというと、CATV会社は基本的に総務省と地方自治体による第3セクターで、ほとんどが天下りの巣窟とか、補助金とかで、あまりビジネスをやる気のない700事業者あまりももいるのが現状で、16兆円の通信マーケットとウン千億以下のマーケットは競争状態になく、機能していない。数少ない大手JCNはKDDIに吸収され、唯一J:COMのみが生き残った。



 したがって、総務省が同様の方策を行うとなると、日本の場合は『弱者いじめ』に対する救済措置のような作用が働き、一筋縄ではいかないだろう。また、インターネットの進出に戦々恐々とする放送会社も反作用を起こすことが目に見えている。(著作権の複雑さの問題を盾に)



 竹中懇談会でNTT、NHKの解体の議論が進んで、放送と通信の融合が進むかかすかな明かりが見えてきた現在、総務省はどう反応するだろうか?どのような国策を立てるだろうか?



 日本では携帯もBB化(帯域をもてあましている?それとも足りない?)が世界で最も進んでいるのであれば、この先いっそのこと、電話会社のみでなく、携帯電話会社にもテレビ放送の参入を促し、百花繚乱、下克上アリの戦国大競争時代へ突入してほしいものだ。。。