アジアなケータイの毎日

すべて無料、の衝撃

最近、香港のケータイ関連の話題といえば「完全無料」の試験サービスを開始したPCCW Mobile。あちらこちらで「もう申し込みした?」「いつ受け取りに行くの?」といった会話が聞こえてきます。先日記事を書いた ように、香港のシェア最下位キャリアSundayを買収した、固定シェア最大のPCCW(昔の香港テレコム)が別ブランドでサービスを開始したのが「PCCW Mobile」です。日本で言えばNTTがTu-Kaを買収し、Tu-Kaとは別に「NTTモバイル」というブランドをはじめたようなイメージです(あくまでも「イメージ」ですので「それは違う」とかの突っ込みはご勘弁)。

とにかく半年間は端末も無料、基本料金も無料。通話は毎月PCCW/Sundayユーザー間が3000分、それ以外も3000分無料。ナンバーポータビリティー(MNP)を使えばそれぞれ5000分に増量されます。通話メインの使い方の香港でも、ここまで無料ならば「無制限」に近い感覚で使えます。そしてTV電話もPCCWユーザー間はかけ放題。24時間TV電話かけてもOKなわけです。ここまでやっちゃって大丈夫なんだろうか?と心配したくなってしまいますが、もちろん品質が悪ければ香港人は我慢して使うことは無く、とっとと見切りをつけて元々使っていたキャリアに戻るでしょう。そのあたりはPCCWも十分わかっているはずなので、「申し込んだけど使ってみたら全然繋がらない」なんてことにはならないでしょう。

このような破壊的ともいえるキャンペーン、香港ではケータイに限らず他の業界でもよく見られます。市場がめちゃくちゃになりそうですが「安くてもダメなものは使わない」のが香港。「安い」だけではユーザーはついていきません。「高くてもサービスがよければ利用する」「価格と料金は比例する」という考えがユーザーの間にしっかりと根付いているわけです。他社より3倍以上も料金の高いキャリアCSLがシェア2位ってあたりが、それを如実に表しているでしょう。もちろん「安ければいい」と思うユーザーも多数います。要するにユーザーのニーズに対してキャリアがうまいこと差別化されて存在している、と言えるのが香港かもしれません。

気になるのはこのキャンペーンでいったいどれくらいのユーザーを獲得するか、という点です。Sundayはキャリア6社/人口約650万の香港でユーザー数100万人以下とシェア最下位。しかしここで50万人でも取れば一気にシェア3位まで上昇します。すでに私の周りでも10数名が利用中のキャリアからMNPでPCCW Mobileへ移動しています。また10数名は新規(もう1回線)にPCCW Mobileを申し込み。無料だから副回線に持っても負担がないわけです。私も申し込みましたが、メイン回線から乗り換えるのは心配なので余っているサブ回線でMNP利用して申し込みしましました。PCCW Mobile側の受付は申込者の年齢や現在使用中のキャリアの支払額で優先順位が決まるようで、サブ回線でほとんど使っていない回線で申し込んだ私の場合、受付は2月14日。早く「使い放題」を試してみたいのですが、あとちょっと我慢です。

キャンペーンは2月10日までのあと1週間。今から最後のかけこみでさらにユーザーを集めるでしょう。今月あたりからは香港の街中のあちこちで無料端末(Huawei U636)を使っている姿をみかけるようになりそうです。



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ついにケータイ最終章の幕開け。


日本でも確実に同じ道を歩む。特に携帯番号ポータビリティ(MNP)、新規事業者の参入、WiMAXによるIP携帯電話化によりより加速する。


既存事業者ドコモ、au、ボーダフォンは加入者の伸び悩みにともない、定額化の流れが始まり、MNPが始まるとさらに加入者獲得競争が激しくなる。これに加え、新規事業者ソフトバンク、イーアクセス、IPモバイルはその知名度の低さから特徴、差別化を出さざるを得ない。そこで、無料化。最初は期間限定、そのうちビジネスモデルを変えてコンテンツ主導の収入モデル。こうなるとさらに街頭でモデムを配ったように、携帯を無料で配り(14-5年前のPHSの投売りのように)、加入者獲得競争に走る。

一方で定額3社は低額化へ走り、ついには無料化。新しいビジネスモデルの始まりだ。


ユーザとしてはうれしさこの上ない限りだが、実はこのモデル、コンテンツで余計にお金を払っているかもしれない。。。。

ギョーカイ人としては最悪!!!