ドコモ、フジテレビの株式を2.6%取得--KDDIは効果に疑問の声
永井美智子(編集部)
2005/12/21 16:32

 NTTドコモは12月21日、フジテレビジョンの株式を2.6%取得すると発表した。フジテレビが保有する自己株式をドコモが207億1300万円で取得する。株式取得日は1月11日を予定している。

 1株あたりの価格は26万9000円で、11月21日から12月20日までの東京証券取引所におけるフジテレビ普通株式の終値平均価額にあたる。

 株式取得の狙いについて、ドコモでは2006年4月1日から携帯電話向けの地上デジタル放送「ワンセグ」が始まることを踏まえ、「通信と放送が相互に連携することで新たな市場を創出し、顧客に魅力あるサービス等の提供を検討するためには、両社の持つそれぞれの事業に関するノウハウ等を共有し、より強固なパートナーシップを推進していくことが必要であると考えた」と説明している。両社は今後、通信と放送が連携した新しいサービスの開発を検討する。

 なお、他の放送局との資本提携については「各方面と話し合いを進めている」(ドコモ広報)と述べるにとどめている。

 通信と放送の融合に向けて布石を打ったドコモだが、この動きに疑問を唱える声もある。ライバルであるKDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は「少数の株式保有では意味がない。放送局というコンテンツプロバイダーから見ればより多くのユーザーに自社のサービスを使ってもらいたいというのが本音であり、資本提携関係がなくても十分協力していけるだろう」と話す。KDDIが放送局と資本提携する可能性については否定し、業務面での協力にとどめるとした。



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この動きはこれから低迷していく放送業界と携帯電話業界のリーダーが提携したもので、今年1年のホリエモン、ミキタニ氏の買収騒動に端を発して焦った放送業界と携帯電話業界が自分の牙城を守ろうとしているだけで何ら意味のない動きである。


ドコモは再び海外への投資(失敗に懲りず、誰も責任を取らず)、他業界への投資に積極的で、これは明らかに電話のARPUが下がり、定額制、大競争時代に向かう中での新たな収益源を模索している動きではあるが、新たな市場は創造しないし、放送局にとってもこれまでの地上波による広告の収益源が激減する中、同じモデルが携帯電話会社から入ってくるに過ぎない。


放送局型の広告モデルは基本的に受動的なマス向けのモデルで、携帯に見たくもない広告が一方的に流れるのであれば、ワンセグを使おうが、TVで見ようが何ら変わらないのである。視聴者が興味がある広告が流れるのは僅かな確率でしかないので、恐らくクリックしないだろう。


今日のAOLとgoogleの提携のように人が集まってくるところに連動型広告とかの組み合わせであれば、非常に効率的である。なぜなら連動型広告は、視聴者が興味があるキーワードに連動して広告を打つので必然的に興味がある広告が出てくるので非常に能動的な仕組みである。これは従来パーソナル向けのモデルだが、そこに人が集まるポータルが組み合わさっているので、より効果的だ。


ドコモはiモードの成功体験から抜け出せないからいつまでも成長しないし、せめてgooと連携してiモードユーザだけでなく、万人がアクセス検索するモデルで新たな境地を開く必要がある。TV電話も失敗し、さらに無駄な投資を誘発する3.9Gとか無駄なことを研究する暇があれば、検索その他の実用的なことにもっと目を向けるべきだろう。


フジテレビは米国の新聞、メディア業界の凋落を目にしている間、もっと他のネット型ビジネスに注力すべきだろう。