ITmediaニュース
2005/09/21 18:18 更新


[WSJ] 電話会社のブロードバンド放送、米で開始へ

米大手電話会社Verizonが、間もなく光ファイバー回線を使ったテレビサービスを開始する。CATVよりも料金が安いため、価格競争が起きると予測されている。

(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 Verizon Wireless(Verizonの間違い???)は、コンシューマー向けテレビサービスを開始する初の大手電話会社になろうとしている。これは、長らく予想されてきた戦いの最初の一撃になる。

 VerizonのサービスはCATVよりも安価なため、電話料金、さらには最近高額なインターネットアクセス料金の値下げをもたらしたような価格競争につながるとの見方が出てきている。

 Verizonは早ければ今週にもこのサービスを立ち上げる計画だ。最初はテキサスシティのみだが、年内に全米の大都市で展開される。同社は近いうちに、ウィリーやウェストレイクなどのテキサスのほかの地域でもこのサービスを開始し、その後はバージニア州フェアファックス郡、急速に成長しているワシントンD.C.郊外、ニューヨークシティ郊外のマサピーカ・パーク、フロリダ州タンパ以外の地域、カリフォルニア州の幾つかの地域と続く。向こう6カ月以内に、SBC Communicationsもテレビサービスを開始する予定だ。テキサスは最初の提供地域に含まれる可能性が高い。

 2005年末までに、Verizonはカリフォルニア、フロリダ、ニューヨーク、マサチューセッツ、ペンシルバニア、ニュージャージー、バージニアなど多数の州で300万世帯にテレビサービスを提供するのに十分なファイバーを敷設する予定だ。ただし実際の時期は、フランチャイズの形で地方自治体からいつ承認を得られるかによる。これまでのところ、同社はテキサス、フロリダ、バージニア、カリフォルニアで十数のフランチャイズを置いているだけだが、承認プロセスを簡略化するよう州議会を説得する努力がある程度うまく行き始めている。

 電話会社の前にはまだ多くの政治的、金銭的、技術的障害が立ちはだかっているが、2010年までには米世帯の40%が電話会社からテレビサービスを利用できるかもしれないとSanford C. Bernstein & Co.の通信アナリスト、クレイグ・モフェット氏は予測する。

 コンシューマーにとっては、これは大きなチャンスだ。CATVの料金はインフレ率よりもずっと急速に上がっており、コンシューマーと当局の怒りを呼んでいる。CATV料金は米国各地で異なっているが、約80チャンネルの標準的なアナログサービスでは月額平均39.63ドルだ(Kagan Research調べ)。画質と音質が優れ、ビデオ・オン・デマンド(VOD)や追加のビデオ・音楽チャンネルを提供するデジタルサービスの場合、さらに15ドル以上が追加される。

 テレビサービスの価格下落は、通信業界の競争激化でコンシューマーが得られる最新の恩恵だ。近年の大規模な競争で、CATV会社と電話会社は次世代ホームエンターテインメント――テレビ、電話、高速インターネットサービスのパッケージ――を提供するために数十億ドルを投じてきた。1年以上前から、Time WarnerやCablevision Systemsなどの大手CATV会社は電話サービスを導入し、これが電話料金に下げ圧力を加えた。電話会社は着実に高速インターネットの料金を引き下げてきた。SBCとVerizonは今年に入り、それまでの半額以下となる月額14.95ドルのプロモーション料金を打ち出した。

 またVerizonは、テレビ事業において他社より安い料金を課すつもりだ。同社は価格構造を明かしてはいないが、マーケティングや書類によると、最初の市場(テキサス州ケラー)では約140チャンネルに36.90ドル、約185チャンネルのデジタルサービスに43.90ドルを課す予定だ(3.95ドルのセットトップボックス(STB)レンタル料が含まれる)。このサービスにはESPN、CNN、FX、Comedy Centralなど標準的なCATVネットワークがすべて含まれる。




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日本と米国は通信、放送にかかる法規制、マーケット事情が異なり一概に比較は出来ないが、これはある種NTTが放送事業に本格進出するのに後押しするかもしれない。


米国では現在3play(トリプルプレイ)といってSBC、Bellsouth、Verizon、Qwestといった地域系電話会社が電話(音声)、インターネット(データ)しか提供していなかったのに、放送(映像)を提供することにより放送事業へ進出していったり、逆に放送とインターネットを提供していたTimeWarner、Cox等のCATV会社がVoIPにより電話事業に進出して電話会社を脅かす存在になり、電話会社とCATV会社が激しい価格競争、加入者獲得競争を繰り広げている。BB加入者数的には電話会社のDSLとCATVが拮抗した状態にある。


一方で日本はCATV事業者はトップMSOであるJ:COMがようやく200万加入に対し、電話会社NTTと新興SBBやイーアクセスの提供するDSLは1500万加入に到達する勢いで、これはDSL側の圧倒的な勝利の状態にある。これは東京めたりっく、SBBの努力によりドライカッパーを安くで調達できる環境になった成果であり、米国のLLU政策と違ったためこのような下地が出来上がった。また、日本の住宅事情が都市部に高層マンションが多いため、新たにケーブルを引けなかったため、CATV事業者が苦戦した原因でもある。

さらに、これにFTTHが月間加入者増ではDSLを超える勢いになり、通信会社の圧勝というのが日本の現状である。


その上、光ファイバーや電話線のアクセスネットワークはNTTが独占している状況にあり、ファイバーのオープン政策は採っているものの、電話線ほど安く借りれないため、競合のSBBやKDDIはファイバービジネスでは互角の戦いが出来ていないのが今の日本の実情である。(そのためKDDIは東電と交渉しているし、イーアクセス、SBBは本格進出せず、ACCAはUSENと手を組んでいる状況にある)


で、3playを実現するためには日本では放送法という規制があり、免許制になっているため、SBBはBBTVで取得しDSL上で提供するが、十分な帯域が出来ていないし、魅力的なチャンネルやタリフになっていないため、加入者を伸ばせていない。KDDIは自前で免許は取得したものの、FTTHで提供するには上記競争環境が出来ていないため、通信会社は今はどこも加入者を伸ばせずにいる。唯一NTTと競争できているのは、関西電力系のk-opticomと、大阪有線放送時代から電柱に資産を持つUSEN(U's COM)のみとなっている。加入者の面で成功しているのは、USENのGyaoぐらいだろう(タダモデルなので。。。)



放送に関しては著作権管理の複雑さから、地上波を再放送できなかったり、地域での制限があったりという法規制や法権利関係から取り敢えずは権利に影響のないものの再放送から始まってはいるものの、コンテンツ的にも魅力的でないし、日本人はTVに金を払いたくない(NHKも?)という歴史もあるので事業的には成功していない。が、例のホリエモン騒動以来、放送会社が通信会社を使ったり、インターネットを使って放送しようという流れはできつつある。



で、当のNTTはIP放送であれ、波長多重であれ、どう転がってもいいように既に検証レベルは終わっており、事業的にもNTT東の子会社plala、goo/resonantで見通しが立っているので、NTT法と放送法、著作権関連の整理がつけばいつでもGOできる状態にある。


後は、監督官庁(通信も放送も)である総務省がe/u-Japanを成功させたいという思惑と、放送・通信の融合へのシナリオを描く中で、状態であるが、放送事業者・通信事業者・コンテンツホルダー(アグリゲータも含む)がwin-win-winの関係さえ整理できれば、米国での成功がNTTが本格的に進出する後押しになるだろう。