面白いのだが、今年の僕は大相撲そのものについて行けていなかった。

というのも、一昨年の末から本来の主役は稀勢の里。

この人が怪我の後遺症で一年休んでしまった。

 

後輩の高安が大関になったが、その高安も優勝はできず、

主役の座を窺う位置にいながら、とうとう今場所は休場。。。

 

主役と準主役を一気に失った気分になって、あまり目が向かなかった。

 

そしたら、出るもんだねえ、主役って。

その前に準主役も出てきたんだった。

 

栃の心。

 

いまここまで読んだ人は、あれ?主役じゃないの??

と思っているだろう。

 

主役はもうちょい後で。

 

この人は今場所、めでたく大関を手中におさめた。

来場所以降、ガチの主役になるべく、大暴れしてくれることだけを希望する。

13日目に痛めたであろう右手首だけが心配だが、それは千秋楽にわかる。

 

この14日目、いろんな立場の人が自己主張した。

 

まず白鵬。

実は、今日白鵬は勝つだろうと思っていた。

勝てば、自力優勝の目は復活し、明日二番相撲がとれれば優勝だ。

 

ところが、負けた。

それも、もしからしたただの一敗ではなく、大相撲界がひっくり返る規模のサプライズ。

原因はもちろん、対戦相手にある。

 

逸ノ城だ。

 

怪物怪物と騒ぎ囃されて3年半。

一度は、ものすごい勢いで関脇まで登りつめ、いったい何場所で横綱になるんだろう?

と思わせた逸材。

ただ、あの当時の逸材は、かなりの愚か者で(笑)

見事に上位のカベにぶち当たってしまった。

 

それが、場所前から「今場所はかなり良いらしい」という記事がちらほら。

あれだけ力士がいるのに、なんども場所前に記事を目にしたということは

注目度は相当に高かったということ。

注目度は高かったが、今日まで星は7勝6敗。

そうかそうか、でも勝ち越せば、ね。

 

でも今日は白鵬戦。

ありゃ、今場所はもうダメか。

ところが、勝った。

それも前に出ながらの上手投。完勝。

 

白鵬はひとこと「左上手が切れたのが全て」とコメント。

しかし、全盛期の彼なら上手は切れないでしょう。

本当に時代が変わる時、当事者はもちろん、見ている方もなかなか認めたくはないもの。

でも、少しずつ時代は動いている。

白鵬絶対、という時代ではなくなったのだ。

もちろん、まだまだ強い。

そして、まだまだ強いところを見せて欲しい。

 

でも、勝って当たり前、ではなくなった。

これからは、他の力士と同じ土俵レベルで、ボロボロになっても勝つ、というところを数多く見せて欲しい。

そう思っている。

 

かたや逸ノ城は。。。なんでこの一番が大相撲界をひっくり返すレベルなのか。

実は、彼はこの対戦で「自分の大きな身体の使い方」に気がついてしまったのではないか。

あれだけ大きな身体なんだから、自分があたふたしなかったら、そんな簡単に動かせる重さじゃない。

それにとうとう気がついてしまったのではないか?

 

今日の白鵬戦は「立ち遅れ」じゃない。「受け止めた」のだ。

だから、自分も十分の左上手をとれた。

そして、落ち着いて自分が前に出て、しかも、出ながら上手投を打った。

 

あのさ、あれが15日出来たら、この人優勝しますよ。

それくらいの一番を、とってみせたのだ。

彼が、もし、この感覚を覚えているようならば、今年中に横綱になる。

逸ノ城を真っ向から受け止めて、しかも力比べができるのが栃の心。

だから、この二人が大関に上がったら、時代は変わるでしょう。

そして、それは下手すると、今年中に実現するよ。

 

でも、彼は今年の主役じゃない。

じゃ、誰よ?主役は誰よ??

 

もうわかったでしょ、鶴竜です。

遅れてきた横綱。

時代も彼に味方している。

仮に稀勢の里が活躍していたら、彼の時代はもう来ることはなかった。

しかし彼はいまや、次出場する時には進退をかけなければいけないところまで追い込まれた。

そして、主役の座をつかみかけていたもう一人の横綱、日馬富士は引退した。

 

さらに、稀勢の里と白鵬が二人とも休場してしまって、先場所はとうとう一人横綱に。

それまで影の薄かった彼に期待した人は残念ながら多くはなかった。

ところが、そこで優勝。

 

今場所も場所の主役は大関獲りの栃の心。

それが13日目でやっと一つ負けた。今日は直接対決。

意地が試される一戦。

大相撲だった。

しかし、主導権を一度も渡すことなく、勝った。

放送でなんども「さすが横綱」と言われた。

 

この人には、もう何度も期待を裏切られてきた。

横綱になってから、本当に優勝できなくなったし、

主役になれそうなところでは、ことごとく負けてきた。

それが今は違う。

 

この二場所。他にもう誰もいない、しかし、横綱の地位は試される。

このギリギリの状態になって、ついに彼は覚醒したのだ。

もっと早く覚醒すれば、という人もいるかもしれないが、

彼が引き寄せた時代じゃない。

上述のようにいつのまにか、時代が回ってきたのだ。

 

それをモノにしようとしている。

遅れてきた主役。

でも、明日勝てば。

明日、優勝すれば。

 

遅まきながら、鶴竜時代は来るかもしれない。

 

プロレスファンからしたら、鶴竜、は特別な名前。

鶴田、天龍だよ?

これを合わせたシコ名を持つ力士が弱かろうはずがない。

 

それが、ついに証明されるときが来た。

明日の千秋楽、ますます目が話せないよ。

 

今更ながら、大相撲が面白くなってきた。