1. トラウマとは「時間が止まった」状態

 

精神的な、或いは身体への衝撃を受けたとき、こころと身体は「閉鎖系」になり、その瞬間の苦しみや恐怖を、細胞レベルで保存してしまいます。

 

頭では「もう終わったことだ、もう安全だ」と分かっていても、身体(五臓六腑)のシステムは「あの時」のままフリーズしていています。

 

つまり、こころと身体の中には、まだ過去を生きている場所があるということです…

 

私達はトラウマというと、つい精神的なもの、感情・情動・気分を連想してしまいます。

 

しかし、トラウマはこころ(陽)のレベルでも、身体という肉体(陰)のレベルでも同時に起こることなのです。

 

ですから通常の東洋医学の治療を行っても、ある一定のところ以上には、なかなか良くならないという場合、こころと身体両面の「気」の負のスパイラルである、トラウマが隠れている可能性があります。

 

 

 

 

 

前回、五臓六腑を「絶えず情報を交換し合う高度な、相互依存のネットワーク」として捉えるお話をしました。そのネットワークがなぜ止まってしまい、どうすれば再び動き出すのかを、考える必要があります。

 

 

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2. 「腎(じん)」は生命の時計、「心(しん」は今を照らす光

 

東洋医学では、この「時間の停滞」を「心」と「腎」の働きから読み解きます。

 

「腎」の役割 

親から受け継いだ生命の源(腎精)や、これまでの人生の歩みを蓄える「生命の歴史」を担っています。

トラウマの影響で腎が冷えて固まると、生命の時計の針が止まってしまいます。

 

「心」の役割

 一方で「心」には、今この瞬間の世界を感じ、判断する「神気」という光が宿っています。

 

 

3.「外」と呼吸を合わせられるようになるまで

 

健全な状態とは、過去の蓄積である「腎」と、今の意識である「心」が、上下でしっかりと通信できている状態と捉えられるます。

 

しかし、時間が凍りつくと、この「過去」と「今」の対話が途絶えてしまうのです。

 

とはいえ、今あなたが世界から切り離されたような孤独感の中にいたとしても、それはあなたのこころと身体があなたを守ろうと踏ん張っている証拠でもあります。

 

「過去」に固まったシステムを、少しずつ「今・ここ」の安心へと連れ戻していく。

 

凍りついた時間が再びゆっくりと動き出し、あなたが再び世界と呼吸を合わせられるようになるまで、案内してくれる鍵は存在しています(続く)