株の谷は奈良県上北山村西原付近にあり、辻堂山(1308.9m)から南西に流れる北山川左岸支流である。地形図からは中規模の沢で、水量はそれなりにあると予想できる。今回も奈良県森林基本図に滝マークがあることから注目した。山と高原地図には辻堂山への登山ルートとして右岸に点線で記されている。「株の谷」で検索しても沢登り報告はなく、辻堂山の登山ルートも大台ヶ原ドライブウェーから行くのがメジャーであり、西原から株の谷で行った報告はここくらいだ。文献については、大阪わらじの会の「台高山脈の谷(下)」に1964年の中庄谷氏らの記録がある。地図には上流の左俣が「一ノ谷」、右俣が「株の谷」と書かれ、北山川出合はどちらかは微妙である。OpenStreetMapでは下流も「一ノ谷」となっているが、現地の看板や大阪わらじの会の報告のように「株の谷」の方を支持したい。

 車はこの付近に通行の邪魔にならないように置かせていただき、ゲートの先の踏み跡から左に下りていく。吊り橋については確認済である。問題は株の谷の左岸、右岸のいずれから進むかであり、前者は山と高原地図、後者はYAMAPだ。最初は右岸を進んだが、道は不明瞭で登りもかなり厳しい感じだ。深追いせずに左岸に変更。こちらは比較的わかりやすい道があった。しばらく歩くと、右に滝が見えたので寄ってみた。そこには滝、岩壁、滝壺など絶妙に配置された絶景空間があった。遡行図には2段20mとあったが、あまり期待はしていなかった。こんな場所でおにぎりでも食べたり、熱いコーヒーを飲めば、最高なのかなと思う。ただ、時間がないので、さらに上流に進む。道は踏み跡がしっかりしているで、特に問題ない。すると、右に立派な滝が見えた。フリーで下りられないこともないが、念のため、ロープを出して滝前に行く。ここも絶景空間だが、正面に行くと滝が小さく見えた。道に復帰して、今度は一ノ谷を狙う。ここは遡行図に美瀑20mが書かれている。ただ、一ノ谷出合に到達し、奥を見えると険悪な巨岩ゴルジュである。日の短い時期のソロで、すぐに突破ルートを見いだせず、素直に撤退することにした。

F1

F2

地理院地図に情報追加

入口付近

左に下りる

吊り橋

株の谷の看板

右岸の道

巨岩多し

F1

F1下流

F1落ち口

道からのF2

F2への斜面降下

F2

F2下流

左俣(一ノ谷)

右俣(株の谷)

険悪な一ノ谷