この滝は子ノ泊山(907m)北東の相野谷(おのだに)川上流に位置する。下記に示す沢登りの本にも掲載されているので、沢屋や一部の滝屋に知られた存在だ。

(1)関西の周辺の谷(中庄谷直編著)1980

(2)わっさかわっさか沢歩き記録集【近畿編】1998

(3)南紀の沢(樋上嘉秀著)2007

(4)関西起点沢登りルート(吉岡章著)2011

 これらの本ではこの滝は無名滝扱いであり、谷名については(1)(2)が相野谷、(3)(4)が中ノ谷になっている。現在では中ノ谷が主流と思う。蔵光山についてはこの付近の山域を指す名称で、子ノ泊山はその主峰である。

 この滝の名称については、(A)幻の滝、(B)牛鬼の滝、(C)不動の滝の3つがある。(A)は三重の滝紀行から滝屋に間で広まった名称。(B)はさわナビ(HPは閉鎖)を参考にした沢屋が使ったが、地蔵谷、立間戸谷に同じ名称があることから最近ではあまり見なくなった。(C)は紀伊続風土記からのものと思われ、そこには落人滝という名前も登場する。興味のある方はここを読んでみるといいと思う。なお、最近の沢動画では名前はないとしている。

 さて、3年ほど前に落打滝入口の左からルートを探索したが撤退。今回はリベンジで、やや遠回りになるがメジャーな登山道から斜面を降下することにした。広い駐車場のある桐原側登山口からハシゴを登ると、最初はきつい急登。ピンクのテープが多くあるので尾根まで迷うことがないが、それなりに疲れる。尾根付近にある「子ノ泊山山頂3」の看板付近から右の斜面を下りた。最初は間伐材のある植林帯で、自然林に変わると石が詰まった谷になる。特に難所もなく、本流に到達した。すぐに右手に右俣(右又)の滝が見える。そこからはもののけ姫の森のような苔むしたゴーロ帯を進んでいく。そして、二俣が現れ、そこを右に行くと正面に幻の滝が見えた。両岸に高く屹立した断崖が素晴らしい。(1)の本の著者が「この滝は落打滝よりもさらに立派なもので申し分ない」と書かれているのも納得できる。

幻の滝

広域地図

滝へのルート(地理院地図に情報追加)

桐原地区にあるイラスト地図

駐車スペース(10台くらい駐車可能)

登山口の看板(ここは桐原でなく、大里なので、桐原側となったようだ)

登山口にあるイラスト地図

説明板

入口のハシゴ

急登

尾根のこの道しるべ付近から降下

最初は植林帯

岩の多い谷

本流に到達

右俣(右又)の滝

苔むしたゴーロ

幻の滝