明後日の土曜日は健康診断。
検診前にある難関を突破するのに毎年一苦労。
その難関とは
ウンコ。
超便秘症で、出ても兎糞上の硬いウンコ。
コロコロのカッチカチ。
ウンコ採取のチャンスは提出の5日前から。
本日残る猶予はあと2日。
ウンコは2日分で2本取らなければならないが、まだ1本も取れていない。
焦る。
ウンコ取れませんでしたなんて言えない。
納期を守れないともなれば、今まで一生懸命生きてきた41年間を棒に振ってしまう。
信頼はガタ落ち、糞を取れない糞野郎と揶揄され一生後ろ指をさされ、隠れるように生きてゆかなければならなくなってしまう。
気が気ではない。
変な汗が伝う。
プレッシャーに押しつぶされそうだ。
緊張してお腹痛くなってきた。
って、コレ限りなくウンコの予感。
検便セットを持ってトイレに向かう。
ヤバい、超ウンコ出そう。
便器の中に採便シートを敷きセット完了。
いざウンコ。
渾身の力をこめてスポーンッ!!!
出てきたのはなんと!
いつもの兎糞コロコロではなく、めっちゃ長くてデカい特大バナナみてぇなウンコ。
こんなん人生初めて。
勢いよく出てきた特大ウンコと共に勢いよく便器の底に沈む採便シート。
えっ!?
説明書のやつと違う!
ヤバいヤバいヤバい!!!
せっかくウンコ出たのに採取できないなんてそんな不条理ある?
驚きと悲しみと怒りが一気に打ち寄せ頭も心も大混乱。
しかし私は絶望の中に一筋の光明を見出した。
長い1本糞の端末が1センチほど便器に張られた水からかろうじて頭を出していたのだ。
水没を免れたギリギリ1センチくらいのウンコの端末、すなわちそれは希望。
大丈夫だ。
天が味方したんだ!
あの1センチの部分(希望)でウンコを採取できる。
諦めるな!
自分に言い聞かせ、残った希望が振動等で水没しないよう慎重に便器から立ち上がり、検便セットを取り出し、いざ取ろうとウンコ採取スティックを握ったその手を希望という名のウンコに伸ばした瞬間
ジャーーーーー
希望は無惨にも流れて消えた。
うぉぉぉぉぉぉぉぉいっっっ!!!!!
なんで???????????
かなりの衝撃を受けながらも、流れゆくウンコになす術は何も無い。
一瞬何が起こったのか解らず、頭が真っ白になったがすぐに悟った。
1階の年老いた両親のトイレは、流し忘れが多いので自動洗浄になっており、人が立ち上がるとセンサーで勝手に流れる設定にしてあったのだ。
そんな事はすっかりさっぱり忘れていたよ。
1人虚しく何の取れ高もないまま採取スティック片手に便器の前にへたり込む。
想像だにし得なかった採便シート沈没からの自動洗浄という二段構えの落とし穴。
まるで悲劇。
あんなにウンコを追いかけたくなったのは人生最初で最後だ。
虚しくうんこが流れ去った後の便器を見つめながらあまりの理不尽に人生を呪った。
鶴橋 ユンボ