人は歪で、皆 痛みを抱えている。

人は自分ばかりが不安で傷ついていると勘違いをする。

人は、自分の事は棚にあげる。

人は自分を守る為に、また、ストレスの吐口として他者を攻撃する。

それどころか人を責めたてる事に快感を覚えたりもする。
端から受け入れる器なんて持ち合わせちゃいないのだ。
いつも他人の粗探しをして攻撃の機会を狙ってる。

間違った人を激しく糾弾し、必要以上に追い詰めるのも また間違った人だ。

人は皆自分が正しいと思って生きているから、考え方や立場によっては全てが正当化されてしまう。

皆んなが良い人なのか、はたまた皆んなが悪人なのかよく分からなくなる。

本当の正義とはなんだろう?

悪の根拠はどこにある?

人と人とが相容れるのは容易なことではない。

文化や価値観、人は皆んな違うから。

考えを改めること、認めること、謝ることはとても勇気がいる。

素直な大人になるのは難しい。
築き上げてきたものやプライドが邪魔をする。

自分の非を認めることは敗北のようで恐怖すら感じる。

そして、関係ない違う誰かに必死に自分の正当性を訴え許されようとする。
第三者に言い訳をして自分の正当性を勝手に押し付け保身し安心するのだ。
本来向き合うべき相手に見向きもせずに。

本当に恥ずべきものとは一体何だろう?

本当の大人は他者を認め許容し、過ちを犯した人にも手を差し伸べることができる。
自分を守る為に己が正をぬじ曲げたりしない。
自分が信じる正義を振りかざす時、最後まで逃げ出したりしない。

本当の大人は、人は完璧ではない事を知っている。
そして、それでも尚、人を敬い救うことができる。

安易にネットに踊らされてはいけない。
皆んながやっているから自分もいい?
そんな幼稚な判断は大人の世界じゃ通用しないことに気づかぬ幼稚な大人のなんと多いことか。
責めるべきは矢面に立たされた見知らぬ誰かじゃなくて、不用意に人を傷つける自分自身。
群れから離れて自分を顧みる時間は大切だ。
人生は誰かとの戦いではなく、自身との戦いだ。
人は綺麗な生き物ではないから、自分の醜さと戦わなければいけない時もある。
時に搾取され、苦い汁を舐めることもあるだろう。
そんな時、自分の幸せや快楽の為なら、他人の不幸など厭わない傲慢さこそが正義なのではないかと、半ばヤケクソな考えに至るかもしれない。
悪の定義なんて分からないのだから。

だけど、人として社会で生きるなら倫理を重んじるべきである。
自分さえ良ければ他人の心や生活を踏みにじっていい訳がない。



それに、ユンボさんは人には優しく接するのが好きだし、相手にも優しく接して欲しいと思う。


ただ、ユンボさんは、兼雄には厳しかった。




他者の間違いを許せる人間になりたいし、自分が道を踏み外した時には手を差し伸べて欲しいと思う。


ただ、兼雄の間違いは許せなかった。




そんなユンボさん、今日、自分が過ちを犯すことにより、過去の兼雄の過ちを許すことができた。
今更だが、自分にとって これは大きな成長だ。

今日の過ちにも、気づいた過去の過ちにも懺悔だ。

後悔というのは、いつまで経っても今の自分を傷つける。

取り戻す事のできない過去は呪縛のように人生に絡みつく。
それでいい。
戒めという名の痛みをもって隣人を愛せ。
隣人の隣人のそのまた隣人のお嫁さんの弟の義理のお父さんの甥っ子の従姉妹のお婿さんのお母さんちの隣人の筋向かえの人まで愛せ。






先日の兼雄スニーカー事件から日の浅い今日、またしても悲劇は起きてしまった。


先日の事件下矢印




ユンボさんら防水屋は靴の履き分けが多い。

例えば、水洗いなら長靴、高所の移動が多い時は地下足袋、重量の時は安全靴、屋内用の上履き、火を使う時は耐火靴、FRP防水用、ウレタン防水用といった具合に現場に応じて細かく履き分けるのだ。
他には、一般住宅と大型施設などでも履き分けるし、営業や現場調査では綺麗な靴を履いてゆく。

お客さんの心証も考慮し、現場や作業内容によって全員、5〜10足の靴を常備している。








毎度サンダルで出勤して、靴を車に積んで現場で履き替えている。

今日も例に漏れず、トラックの荷台に靴を放り込んで出動した。

現場に到着し、トラックから降りると荷台に転がる兼雄の靴。

しかし、今日は兼雄はいない。
違う現場に行っている。

なんで兼雄の靴が載っとん?なんやねんアイツ、
やっぱアホやな。と思いながら、自分の靴を探す。
中々見当たらないユンボさんの靴…。
荷物に紛れてしまったようだ。
現場に同行していた同僚2人にユンボさんの靴の捜索協力をお願いするも やはり見つからない。

おかしい。

絶対、朝積んだもん!靴ちゃんと積んだもん!トトロいたもん!

だけど、どーっしても見当たらないユンボ靴。

なんでだろ?

嫌だけど、しょうがないから泣く泣く兼雄の靴を履く。

60過ぎのオヤジの履き古した靴を履く勇気、褒めてほしい。


ブカブカだ。
馬鹿の大足状態だ。
大足じゃなくても馬鹿だけど。


ブカブカだったけど、大した仕事じゃなかったので事なきを得た。


ユンボさんの靴はいずこ。

謎を抱えたまま帰社すると…


あったよ!!
ユンボさんの靴が!!
会社に!!



最初から持って行ってなかったよチーン

ユンボさん、間違えて兼雄の靴を持ってってたよゲロー
取り違えてたよガーン

どんだけ兼雄ラブなんだよ、自分っアセアセアセアセ


紛らわしいんじゃい雷雷






もー、こんなん間違えるでしょ!?
なんなんコレ!!
兼雄のハニートラップ??ゲロー


そしたらさ、会社でさ、ユンボさんに靴を履かれた兼雄が被害者って言われてんのハッ
兼雄が可哀想って!
逆だからアセアセ
なんで、ユンボさんが、思春期の娘に嫌われるお父さんみたいな扱いになっちゃってんの!?
ユンボさんに履かれて喜ぶのが正しくね?
兼雄からしたらピチピチの娘が履いてんねんぞ!
喜べムキー
そしてコッチが被害者や!
なんで60過ぎのおっさんの履き古した汚っね靴履かなあかんねん!?ムカムカハッ
って、ユンボさんが間違えたからだよっ!

どうもすみませんでしたっムキーハッ
何回も言うけど、水虫じゃねーから安心しろや雷

すると、兼雄が言った。


別に気にせんといて
間違いは誰にでもあるから。大丈夫。


目頭が熱くなった。

兼雄が優しく許してくれた。
ユンボさんは兼雄に優しくなかったのに。
なのに兼雄は優しかった。
兼雄に救われた。

ごめん、兼雄…ありがとう。
バツの悪さと照れくささとで 俯いたままボソリと伝えた。

帰り際、例の靴を持ち帰る兼雄。
同僚が、なんで持ってくん?どした?と聞くと兼雄が言った。

母ちゃんに洗ってもらうわ。



せやな。
賛同する同僚。

……。

そんな会話をする2人の背中を遠巻きに見送って、また一層目頭が熱くなった。



聞こえちゃってますよーーーー笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き


でも、許そう。

兼雄がそうしてくれた様に。


兼雄、痛み分けやな。


靴から学ぶ道徳哲学。


アダルトチルドレン 兼雄とユンボは、痛みも失敗も人生の肥やしにして強さと優しさを育んで今日も生きています。

若干、人生終盤と折り返し地点の2人だけど滝汗


鶴橋 ユンボ