私は、一晩中、猛烈に怒っていた。
自分でいうのもなんだが、私は、自他共に認める温厚な性格で、普段、ブログで使っているような汚い言葉づかいは使わないし、あまりイライラする様なこともない。
同級生に仏のユンボと呼ばれていたくらいだ。
そんな私が、任侠映画さながらの脅し文句と、今時聞かないぐらいの巻き舌で、ブチギレているのだ。
千鳥の大悟に向かって。
夢の中で。
夢の中の大悟は、メイクアップアーティスト。
今日は、とある化粧品会社のアイシャドウの新商品の発売イベントだ。
新製品を使って大悟が無料でメイクをしてくれる。
メイクブースは長蛇の列。
もれなく私もその列に並んでいる。
ゴールドとシルバーとラメが眩い大人気商品。
服屋の試着室のようなカーテンで仕切られたブースの中で1人ずつ大悟がメイクしてくれる。
ついに、ユンボさんの番がきた
待ちに待った大悟先生にメイクをしてもらえる
天にも昇るような気持ちで椅子に腰掛けると、いきなり大悟が、こんなんなどうせやったら混ぜたらええんじゃ言って、事もあろうに、ゴールドとシルバーとラメを全部混ぜ合わせてしまったのだ
そこでユンボさんブチギレ、大悟に舌巻きながら、おんどれ、なめとんのか?ええ加減にせいや、マジぶち殺すぞ、この糞野郎!責任とれるんやろうな!その面がちゃばいて皮ひん剥いたろか!?あぁん?!って胸ぐら掴んで詰め寄るの。
大悟もワシはええ思って混ぜたんじゃー!ってめっちゃ怒鳴り返してきて、ブースの中で大揉めよ
で、ユンボさん、後ろのお客さんの心配もし始めて、後ろの人らもゴールドとシルバーを楽しみに来てるのにどうすんのってイベント主催者側みたいになって、責任感じて困惑してんの。
大悟は他人事みたいにしてる
その内、怒りより、呆れと何故混ぜ合わせてしまったのか?という疑問が渦巻き、ため息しか出てこなくなって、1人でブツブツブツブツ言ってたの。
その時、寝言録音アプリに録画されていたのがこれよ。
汚い言葉はカットして、部分部分拾った音声だよ
ゴールドが、グゥヲォォ〜〜ルドになっちゃってるよ
これをね、4時間言い続けてんの。
本当やっきりしましたわ
目が覚めて、完全に覚醒してからも、大悟の奇行が理解できなくて、納得できないんよ
ゴールドとシルバーを混ぜるという行為が。
ゴールドとシルバー言ったら、レアカラーだよ?
色鉛筆でも、入ってないことの方が多いからね!
子供の頃、色々な色を混ぜ合わせるという事をしたけどさ、ゴールドとシルバーを混ぜようなんて微塵も思わなかったからね!
折り紙でも、ゴールドとシルバーは、1枚ずつしか入っていないわけで、ゴールドとシルバーは、確立された二大巨頭で、この2トップをわざわざ混ぜようなんざ、あるまじき愚行なわけよ!
配色に組み合わせても、混ぜ合わせようと思わなかったというか、ユンボさんの人生において、そもそもゴールドとシルバーを混ぜようという発想が思い浮かばなかったわ。
赤と青を混ぜて紫とか、白と赤を混ぜてピンクとか、ありとあらゆる組み合わせを嬉々として混ぜ混ぜしてたけど、ゴールドとシルバーには、混ぜるものではないという凝り固まった認識があったのかもしれない。
何故だろう?
だけど、何度考えても、柔軟な見方をしようと努力しても、ゴールドとシルバーを混ぜるという行為には違和感しか感じないし、必要性も見出せない。
ゴールドとシルバー。
不思議な関係。
ゴールドとシルバー。
これは対極?同極?
ゴールドとシルバー。
混ぜたら何色?
ゴールドとシルバー。
どうか、ずっとゴールドとシルバーのままでいて。
でも、気になって仕方がないので…
ゴールドとシルバーを混ぜてみよう
鶴橋 ユンボ