ちっちゃいおじさんは、普通のおじさんに
違和感なく溶け込み暮らしています
そう、言わば女子力ならぬ、おじさん力
高め女子

最近は、おじさん力も右肩上がりに上がって
うっすら髭も生えてきた
実際 右肩は、年々上がらなくなってきた。
ハリは無くなり、体力は低下の一途を辿り
恥じらいも乙女心も昨日の夕飯のメニューも
一昨日温めた電子レンジの中の肉まんも
人としての尊厳も忘れかけている
でも、少年の心は忘れない
よくとっつぁん坊やと言われます
結構、大きくてかっこいい

そして、かなり獰猛

木工所の木くずの中に居たのを捕獲
まさかコイツもアラフォーに捕獲される
なんて夢にも思ってなかったであろう
無邪気な少年に捕まり、観察日記や自由研究の
主役に抜擢され、少年やその友達に
憧憬の眼差しで熱い視線を送られ
一躍 時の人ならぬ 時のクワガタに
なるはずだった。
でも、木くずを掻き分け現れたのは
アラフォーなおじおばさんだった
彼(クワガタ)ビックリしてた...。
私見て一瞬「えっ
」って顔してた。
二度見してた。
で、夢かと思ったクワガタは
思いっきり頭のハサミで指を挟んだのね。
私の。
痛かった
現実だった。
ノコギリクワガタは、成虫になってからの
寿命が短く、越冬しないとの事。
また置いていかれてしまう・・・。
独身協定を結んでいた佳奈ちゃんにも
つい最近置いていかれたばかりだというのに
皆んな皆んな私を置いて行く
枕を濡らしながら眠りについた夜
私は不思議な体験をした。
寝ていたら、「ユンボ、ユンボ、起きて
」
という声に起こされた。
眠い目をこすり、ゆっくりと起き上がると
あのクワガタの姿が
戸惑う私を意に返すこともなく、彼は続ける。
「ユンボの王子様を見つけてあげるよ
」
自信に満ちた声で彼は言う。
私はといえば、普段から半開きの口が
尚のこと塞がらない。
でも、王子様を見つけてくれるのなら
この話 乗った
必死で またがった



話が暴れ馬の如く私を拒絶しようが
カウボーイ鶴橋
乗りこなしてみせる
藁でもクワガタでも縋りたい
すると彼の立派なハサミがクルクルと
回り始めた
・・・・・・・・?・・・・・・
これ、ダウジングじゃねぇ

ダウジングだよっ

かなりの疑心暗鬼に陥ったが、
シンデレラでもネズミが馬になり
カボチャさえ馬車になった
ならばクワガタの顎がダウジングになっても
なんら驚くことはない
私は瞬時にクワガタダウジングを受け入れた。
これで水脈や鉱脈探し当てるみたいに
王子様の脈を探しちゃうんだね

王子様の脈が無かったらどうしよう
もうこの世に居ないとか言われたら
どうしよう


私の脈も触れなくなっちゃうよ
どうか生きていて
王子様
仮に生きて見つかっても、脈ナシとかだったらどうしよう
でも私は、クワガタを ダウジングを
信じてみる事にした。
クルクル回る彼の顎(ハサミ)。
捜索は困難を極めた
私にもクワガタにも疲労と困憊の色が滲む。
共闘し、励まし合い、同じ目的に向かって
長い道のりを、苦楽を共にした。
ドラゴンボールを探す旅のように。
王子様のゴールデンボールは見つからない
私は言った。
「桑形さん、もういいの。もう充分。
今まで本当にありがとう。
貴方が王子様だったら良かったのにね」
すると クワガタのダウジングが激しく
回り始めたではありませんか
クルクルと旋回し発生した小さな竜巻が
クワガタの体を包み込んだ。
クワガタの体から光が放たれ人の姿に

そう、クワガタは魔女に呪いをかけられた
王子様だったのです。
クワガタ王子が本気で誰かから愛されたら
呪いが解け、人の姿に戻れるというものでした。
私の前には、立派な顎の王子様
ちょっとタイプじゃないけれど、
顎のところがタイプじゃないけれど
妥協が大事って誰かが言ってた
2人は愛し合い結ばれました
朝起きると、王子様の姿はなく、相変わらず
虫かごからガサゴソと音が聞こえる。
私の桑形王子は、夢か幻か・・・ 。
いいや、今こそ夢の中。
私が、アラフォーで独身で、学生時代の
体操着で、独り 虫かごと向き合ってるなんて
それこそ、タチの悪い悪夢に他ならない

早く夢から醒めなきゃね
私は鼻を挟んでみた。
ほら 全然痛くなんか・・・・
現実だった・・・・
写メ撮る余裕なんてないくらい現実だった
バラエティで使ってるクワガタって調教されてるの
手加減してくれてるの
甘噛みならぬ甘ハサミなの
何で出川哲郎は平気なの
うちのクワガタめっちゃ本気出してきた
ナイルワニっぐれぇの顎の力発揮してきた
痛かった...
痛い現実。色んな意味で。
もうすぐ冬
クワガタにも私にも厳しい季節。
心の冬支度が間に合いそうにもありません。
心の隙間風もブリザードに変わり凍りつく心。
私には、溶かしてくれる妹もいない
悪玉コレステロールが高くて
心筋梗塞の危険あり
健康診断で毎年引っかかる
脂で固まる私の心臓。
そう、血液をサラサラにしてくれて、私の血管の脂を溶かしてくれるのは、タマネギだけ
静まり返った部屋、
そっとクワガタに問いかけてみた。
「ねぇ、私達、越冬できるかしら
」
もちろん答えなど返ってこない。
ディズニープリンセスは、ちっさいおじさん
鶴橋 ユンボ















