ベンチャー企業における広報&提携戦略の重要性 | 「得手に帆を上げて」 

ベンチャー企業における広報&提携戦略の重要性

先日、MBAの先輩であるTさんとランチをご一緒させてもらいました。

Tさんは以前のエントリーにも書きましたが、予防医療の分野で起業され、

現在色々な分野でマスコミにも注目され、活躍中です。


で、僕は今の自分のプロジェクトに関して、疑問に感じた事、悩んでいる事など

を率直に聞いてみました。その1つが広報&提携戦略の重要性です。


これは現在のクライアント先の社長であるYさんが重要視している事ですが、

僕は疑問に感じていた事です。ちなみにクライアントのビジネスはBtoBです。

それも完全無欠のBtoBです。


一般的にBtoBの肝は技術力と営業力、BtoCの肝は消費者のニーズを見抜く

マーケティング力とそれを伝える広報活動だと思います。

これはコミュニケーション・チャネルの違いが大きいことが理由です。

例えばBtoBの場合、顧客が直接、製品やサービスに関する先方の要求を伝えてくれる。

一方、BtoCの場合、例えば商品を直接消費者に伝える事は難しく、彼らからの

フィードバックもサーベイなどのサンプリングでしか得られません。

故に、制約条件の下マーケティングを通じて、消費者の潜在ニーズを見抜き、

広報活動によって、それを消費者に伝える重要性があるわけです。


勿論、インテルなど本来的にはBtoBでありながら、消費者を意識した

PR活動を重視し、それが高い効果を上げている企業も少なくありません。

でも例えば、インテルの場合、結局PCというものは消費者が購入決定権を持っている

わけで、僕のクライアント先の場合とは決定的に違います。

広報活動で、例えばユーザー本社の目に留まっても、結局は購入決定権は

現場に下りるわけで、そこでは技術力&営業力が勝負となります。


と言うわけで、僕は広報活動に疑問を感じてました。で、Tさんと話をしていて、

思った事は(Tさんは広報の重要性を感じてました)、僕の広報に対する

考え方の前提が実は非常に狭い視点だったのでは?と言う事です。

つまり僕はユーザーの意思決定に対して、何らかの影響を与えるかどうか?

のみに固執してました。その部分では広報活動はさほど重要ではありません。


でも、販売代理店や投資家、潜在的な事業提携先から見たら、

マスメディアに紹介される、ということはその企業の「信用」に結びつくわけで、

この「信用」は「ブランド」とも置き換えられ、非常に重要な資産となります。

例えば、ベンチャー企業の製品なんて、名の知れた商社はあまり本腰を

入れてくれません。小口だし、信用もないし。これがベンチャー企業が

大抵ぶつかる「売りの壁」です。でも世の中のトレンド(環境とか、医療とか)に

乗っていて、更にそのトレンドの中の注目企業として紹介されれば、

ユーザーはそれだけでは動きませんが、販売代理店や投資家などには

強いインセンティブとなり得ます。勿論、事はこんなに簡単ではないですが。

でも、広報活動をユーザーのみに限定せず、企業の幅広いエコシステムの

中の戦略と考えるとすごく重要性が出てくるような感じがしました。


提携戦略についても、同様です。僕はメーカーは技術力が命と思っており、

技術力に自身があるのだったら、何も他社と組む必要は無い、と思ってました。

だからYさんが唱える、メジャープレイヤーとの提携戦略には非常に疑問に思ってました。

でも、これもユーザーやその他エコシステム内の関係者に対する「信用の構築」と

唱えれば、事業提携するということは名の知れた企業が既にスクリーニングをして

くれたと言う意味で、「信用、ブランド」に繋がります。かの孫正義は「その分野での

No1と組めば、勝負はほとんど決まったようなものです」と提携戦略の重要性を

強調してましたが、それは孫さんの長いベンチャー経営経験を経てたどり着いた、

本音なのかもしれませんね。


Tさんはこう言いました。「売上とブランドの両方を構築することが重要です」。

僕は売りばかりに目が行ってしまい、売上とブランドが補完関係にあることを

完全に見落としてしまっていた事に気付きました。反省です。

前回のエントリーに書いた、自分自身の知識やスキルに対する謙虚さが

欠けていたような気がします。


Tさん、貴重なご意見をどうも有難うございました。