一蝶を放ちて蓮華浄土かな  富安風生

 

 

 掲句には季語が二つあります。蝶は春の季語、蓮華(れんげ)は夏の季語です。季語が二つあることを季重なりといい、使い方が難しいのです。特に季節の違う季語があると焦点がぼけてしまいますので、避けなければいけないとされていますが、掲句の場合は「蓮華浄土かな」と大きく切っているので、「蓮華」が主たる季語であり、「一蝶」は従たる季語と考えられますし、「夏の一蝶」の「夏の」が省略されているとみれば同じ夏の季語ということになります。

 蓮の花が咲き、蝶が舞っている世界は、それはそれは美しく、まるで極楽浄土のような世界なのでした。

 

 

 

 

 

せっかくの黒揚羽が残念、ボケています。