しまひまで見てしまひけり春の夢  行方寅次郎

 

 

 春の夢は、昔から「春の夜の夢のごとし」というように、華やかだけれどどこかはかない人生のたとえにもされてきました。寒くもなく暑くもない快い春の日の眠りの中で見る夢、どんな夢だったのでしょう。

 作者の行方寅次郎は私の最初の俳句の先生でした。とてもお酒が好きだったので、想像するに、お酒を好きなだけ飲んだ夢ではないかと思います。