山吹やひとへ瞼(まぶた)の木曽女  橋本鶏二

 

 

 山吹というと普通黄色ですが、写真のものは白色です。山吹の一重の黄色の花は五弁ですが、白山吹は四弁ですので、山吹と言っても種類が違うのだと思います。

 太田道灌の物語で有名なのは山吹の八重のものですね。一重のものは実をつけますが、八重のものは実をつけません。

「七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞ悲しき」。雨が降り出して蓑を農家から借りようとした太田道灌に対して、農家の娘が詠った和歌です。「実の一つだになき」と「蓑ひとつだになき」とを掛けているのです。