入れものが無い両手で受ける  尾崎放哉

 

 

 放哉(ほうさい)・・山頭火と同じく自由律俳句(五七五の十七音の形式にとらわれず、自由な音数律で詠もうとするもの)を多く詠んだ俳人として知られています。多くの場合は無季であるのですが、次の代表句には季語「咳」が入っています。<咳をしても一人>  

 掲句は、布施を受ける受け皿などの入れ物がなく、両手で受け取ったというものです。何もかも捨てて身ひとつで暮らしていた放哉。「咳をしても一人」の暮らしです。

 写真ですが、東京国立博物館の裏側にある庭園に置かれている藁葺屋根の家です。この場所、はじめて知りました。