出航の銅鑼や鈴蘭もちかゆる   長谷川かな女

 

 

 この句は、どこの港町を詠まれたものでしょう。神戸でしょうか。横浜でしょうか。外国航路のような気がします。

 鈴蘭は白い鐘のような小さく可憐な花をつけ、人をやさしく、明るい気分にさせると思います。鈴蘭を送ると幸せが訪れるという言い伝えがあるようですが、掲句の場合持ち帰ったとあるので、ただ事ではありません。なぜかこの銅鑼の音は悲しくひびくのです。

 横浜の埠頭から出航したとしたら、銅鑼の音を聞いたのは、山下公園あたりかもしれません。そのあと港の見える丘に行き、丘の上から港の先に広がる海をみつめると、すでに船影はなく、遠くから悲鳴にも似る汽笛の音が聞こえてくるのです。

 写真の三枚目は、みなとみらいの大ホール。久しぶりにパイプオルガンの演奏を聞きました。