広々と浜を濡らして夏の潮    フーザンボー

 

 

 夏の潮と言った場合は、梅雨が明けたあとの黒潮の濃い流れをイメージします。似たような季語に「夏の海」がありますが、「夏の潮」の方がエネルギーにあふれ、力強い動きを感じます。

 拙句ですが、次の句を読んで、「夏の潮」を「夏の雨」に変えてもよいように思いました。「広々と浜を濡らして夏の雨」。スコールのような激しい雨が降り、浜辺にはだれもいなくなり、とても静かなのです。そんな光景も悪くない。

 

 

          夏潮に雨は一粒づつ刺さる    後藤比奈夫