新緑やかくも明るき児らの声    フーザンボー

 

 

 俳句は切れを重視します。「新緑や」とすると、まず新緑が一つの言葉のかたまりとなって読む人の心に入ってきます。「新緑がいっぱいの森の景」を堪能します。

 一旦そこで間をおいて、「これほどまでに明るく楽し気な児童らの声」が聞こえてくるのです。

 上五を一度大きく切字で切り離し、それに次の措辞を重ねていって、句の深みを味わうのです。

 これを「新緑のかくも明るき児らの声」とすると、上五から下五まで一気に読んで味わうことになりますが、こちらは切れが弱くなります。

 

 次の句は、下五の「けり」で大きく切って詠嘆しています。これも切字の効果です。

 上五で切るか、中七で切るか、下五で切るか。どこかで大きく切るのです。

 

 

          新緑に命かがやく日なりけり    稲畑汀子